カカオで染めた草木染も登場。人工的なミュージアムで自然に触れ、「たゆたふ」時を過ごす。

大学教授であり、アーティストでもある植物染色の専門家、いまふくふみよ氏による植物染につつまれる、インスタレーション作品を展示しています。

無機質な部屋の中に突如現れる薄いベール。それらはすべて草木で染め上げられた植物染です。ミュージアムという人工的な空間にいながら、植物から生まれた色と布の風合いを通して、自然のあたたかみを感じられるアートとなっています。展示されている布のうち11枚はカカオを使用して染められています。2022 年、フェリシモ チョコレート ミュージアムといまふく氏が共同実験を行い、好評を博したカカオ染が再び形を変えて展示されているものです。自然の豊かな恵みで作り上げた植物染の世界で、鑑賞者もまた自然の中にほどけていくような、「たゆたふ」時間を体感することを提案します。

布につつまれた空間の中に入った状態で、展示室入り口側から写真を撮ると、植物染の水玉模様がまるで中にいる人の服に映ったように見えるのも特徴的です。その場の空間を味わったり、写真にした時の見え方の違いを楽しんだりしながら、ゆったりと流れる時間を楽しむアートです。