VALLOON STUDIO SHIBUYAでは、2025年5月23日(金) – 6月2日(月)にて、平井将貴 個展「結」を開催いたします。

平井さんは「人に関わるもの」をテーマに日本画を制作する画家です。日本画の伝統技法である裏打ちや植物染料を応用し、柔らかく深みのある色彩を生み出し、精緻に描かれたモチーフの向こうに独特の奥行きを感じさせる絵画を制作しています。

近年は、髪飾りと植物という二つのモチーフを並置・対比させることで、女性の精神性や本質を表現することに取り組んでおり、本展ではその連作を中心に展示いたします。

「人を描かないことによって、人の本質を描く。」
平井さんの試みを、ぜひ間近でご覧いただければと思います。

【アーティストステートメント】
人というものを表現するにあたって、私が画面上に描くのは具体的な人間の像ではありません。
もし具体的に人の姿をそのまま描いた場合、その特定の表情や姿、そこに見て取れる個の感情というものに惹かれる可能性が高いと思いますし、それは言わば生物的、本能的に至極当たり前のことではないかと思います。

しかしながら、私は個人やその個々の感情を描きたいのではなく、特に髪飾りの作品に関して言えば広義的な意味で人間という生き物における生物的な「女性」というものの概念を抽象的に描きたいと考えています。

そのため私のコンセプトにおいては、画面上に女性像を描くのはあまりに直接的すぎる手段である上、かえって表現の本質から遠ざかるように思います。
最近、実際に画面上に描くのは芍薬や百合をはじめとした花や植物、装飾品である櫛や髪飾りなどです。そういったモチーフから成る婉曲的な表現こそ、「女性」という抽象的な概念そのものを表すにあたっては、むしろ直接的な手段であるのではないかと考えています。
髪飾りは装飾品、着飾るものとしての「表」の姿、対して花は人の内面を表す「裏」の姿の象徴として捉えており、それらを組み合わせて一つの画面とする作品作りを試みています。

(ステートメントの一部を抜粋しております。全文は会場にてお楽しみください。)