日本では、四季の移ろいの中に美を見出し、季節を生活に迎え入れる文化が育まれてきました。
 美術工芸においても、季節に応じた素材やモチーフを取り入れた「室礼(しつらい)」が、暮らしに四季の彩りを添えてきました。人々が夏に求めたのは、暑さの中に涼を感じる工夫と、動植物の生命の輝きです。透ける素材や軽やかな造形、水辺や風を思わせる風景、動植物の豊かな表情など、清涼感と活気を宿す表現が生まれました。
 本展では、金や金箔を用いた作品を中心に、涼感や動植物がモチーフになった約20点とともに、竹工芸家・池田巌の作品《意識の乖離》を特別展示します。竹を割いて剥がすという行為から生み出された本作品は、涼やかさの中に緊張感を宿し、伝統的な素材による現代的な造形表現をご覧いただけます。