東京画廊+BTAPでは、8月29日(土)より「関根美夫 門・貨車シリーズより」展を開催致します。
関根美夫(1922-1989)は日本の戦後美術を代表するアーティストで、東京画廊では1965年から6回個展を行なっています。作品の主な所蔵先に、東京国立近代美術館、国立国際美術館、和歌山県立近代美術館、高松市美術館、芦屋市立美術館、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、和美術館(中国)などがあります。2022年に弊廊で開催した個展では、「そろばん」を主題としたペインティングを中心に展示しました。本展では1960年代から1970年代初期にかけて、そろばんと並行して制作された「貨車」、「門」を主題にした絵画シリーズを紹介します。

関根美夫は和歌山県生まれ。自由美術協会を通じて吉原治良(1905-1972) と出会い、1954年に具体美術協会の結成に加わります。1955年に第七回読売アンデパンダン展に出品、1958年にはミシェル・タピエ(1909-1987年) が作品選定を行った「新しい絵画世界展/アンフォルメルと具体」(大阪で開幕し、東京、京都、広島、長崎に巡回)に参加しています。1959年、具体美術協会を脱退し東京に移り住んだ関根は、第15回読売アンデパンダン展(1963年)で初めて「そろばん」の絵画作品を発表し、以来生涯にわたって「そろばん」「門」「貨車」「富士山」のシリーズを軸に制作を展開しました。その他の主な展覧会に「現代美術の動向-絵画と彫塑-」展(1964年、京都国立近代美術館)、「第二回長岡現代美術鑑賞」展(1965年、新潟県長岡市)、「1960年代:現代美術の転換期」(1981年、東京国立近代美術館、その後京都国立近代美術館に巡回)などがあります。

具体美術協会時代に身体性や物質性を強調した抽象画を制作していた関根は、脱退とともにその傾向から離れていきます。「そろばん」は、ジャスパー・ジョーンズの<標的>シリーズから着想を得たと言われ、さまざまな構図や色彩を展開しながら、晩年に至るまで多数の作品が生み出されました。また、「そろばん」シリーズの開始後、「門」や「貨車」といった実験的作品群も並行して制作されます。これら三つのシリーズに共通しているのは、イメージの平面性です。そろばんを正面から描くのと同様、貨車や門を側面から描くことで、遠近法を感じさせない画面が追求されました。また、そろばんの珠の位置が数字を示すように、貨車シリーズにも謎解きめいた数字や記号が散りばめられており、抽象と具象の間へと我々を誘います。こうした試みは、関根が絵画の反イリュージョナリズムへと向かっていくにあたって、重要な里程標となりました。

2027年秋、和歌山県立近代美術館で関根美夫の国内初回顧展が予定されています。