紅型は、琉球王国で発展した伝統的な染織です。鮮やかな色彩と多様な文様によって王国の装いに格別の華やぎをもたらしてきました。
 琉球の伝統的な衣裳である琉装は、沖縄の方言で「うちなーすがい」と呼ばれます。「うちなー」は沖縄、「すがい」は身なりや装いを意味します。琉球王国時代に育まれた衣裳文化には、温暖な気候に適した着装の工夫が見られます。例えば、女性は帯を締めず、腰紐に着物の前を挟み込む「うしんちー」と呼ばれる着方をし、風通しよく涼やかに過ごせるようにしていました。また、このような工夫に加え、琉球王国では染織による豊かな表現も育まれました。なかでも紅型の衣裳は、王国の美意識を象徴する存在でした。
 紅型は、王族や士族の女性を中心に、元服前の少年や宮廷に仕える人々などにも用いられました。衣裳の色や模様には階級による違いがあり、身分や立場を視覚的に表す役割も担っていたのです。
 本展では、松坂屋コレクションの紅型衣裳を通して、琉球王国における装いのあり方と、その中に息づく美のかたちをご紹介します。