このたびGallery TURNAROUNDでは、彫刻家・木村剛士の個展「台座という領土、境界という不安」を開催します。

木村剛士は仙台で美術を学んだのち、各地で制作と発表を重ねてきました。彫刻を、単独の物体にとどまらず、身体を取り巻く環境や社会との関係のなかで捉え直す実践を続けています。これまでART MIYAGI 2019(宮城県美術館)をはじめ仙台で作品を発表する機会はありましたが、Gallery TURNAROUNDでの個展は本展が初めてとなります。

本展の出発点には、引っ越しを機に自身の土地へ打ち直された一本の境界杭があります。それは「ここから内側は自分の領土である」という安心を与える一方、その向こう側を他者の領域として分かつ線でもあります。内と外、帰属と排除、安心と不安。木村は身近な出来事から立ち上がるこうした感覚を、彫刻がたどってきた「物体の輪郭」から、身体の知覚や人の関わりによって生まれる「場」へと開かれていく歴史に重ねます。

台座は作品を支えるための基盤であると同時に、作品の領土を定める装置でもあります。木村の作品は、その足元にある境界を問い直しながら、私たちが国家や地域、暮らしのなかで日々引いている無数の線を揺るがします。彫刻と空間、そして鑑賞者の身体との関係を通して、境界が固定された壁ではなく、関わり方によって変容しうるものとして現れる展覧会です。