視覚、聴覚、嗅覚、味覚、そして触覚…五感と呼ばれる感覚は、いずれも身体の感覚器官を通じて、外界の万象と接触しています。私たちは自らとそれ以外のものを区別し、そして認識するとき、常にこの接触を伴っています。インターネットやスマホがもはや生活インフラとなった現代社会では、その外界に溢れる豊富な情報を処理するために視覚が優位となりがちで、触覚を意識する場面はそう多くありません。しかし彫刻家はどうでしょう。日本を代表する二人の彫刻家は、次のように述べています。
彫刻性とは量感の裏に凡ゆる美的要素をふくませた、言わば触覚的感覚にうったえる形の性格を指すものである。 ―本郷新
彫刻家は物を掴みたがる。つかんだ感じで万象を見たがる。 ―高村光太郎
本展では、これらの言葉をたよりに、触覚を原始的な感覚、かつ他の感覚の基底を成すともいえる重要な感覚と捉え、その多義性に迫ります。本展に出品される、さまざまな技法・素材を用いて制作を行う北海道の現代作家の作品は、我々の認識と接触を通じて、感覚に対する新たな奥行を与えてくれることでしょう。[美術館サイトより]