Apr. 8, 1997 (a) | Apr. 15, 1997 (a) |
Column Index - Apr. 8, 1997
a)【初期トーキー映画と「語りの混濁」 ―ウェズリー・ラグルズ監督『ボレロ』をめぐって】 ……………………●篠儀直子
b)【サイバーカフェという公共圏
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バックスペース
バックスペース
ANTI WITH E
Cyber Cafe Guide version 13.0
Welcome to Cyberia Cafe
NTT InterCommunication Center
GRENSGESHILLEN: Geert Lovink, Pit Schultz
GEERT LOVINK, PIT SCHULTZ (Neterlands / Germany)
CTHEORY: Organized Innocence and War in the New Europe
HyperMedia Research Centre
Memesis Critics
CTHEORY: Global Algorithm 1.1: Hypermedia Freedom
Cyberia Magazine - Wire Cutters,the bondage of freedom
A Preliminary Thesis Toward
"The Work of Art in the Age of Cyber Technology"
By Toshiya Ueno
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サイバーカフェという公共圏 ●毛利嘉孝
サイバーカフェが生まれたロンドン? サイバーカフェあるいはインターネット・カフェという形態はアメリカではなく、ロンドンで生まれた、と信じている人は少なくない。以前トッテナムコート・ロードのサイバーカフェ、「サイベリア」を取材したときもそう言われた。その後、ヒース・バンティングに会ったらその「サイベリア」のコンセプトそのものが彼のものだったと聞かされた。 ヒース・バンティングとネットワーキング
ヒース・バンティングの名前は、NTTのインターコミュニケーション・センターの招聘で来日したことがあるので覚えている人もいるかもしれない。イギリスのインターネット・カルチャーに関わっていて彼の名前を聞いたことがないのはモグリである。その一方で、実際に彼が何者なのか正確に答えられる人は少ない。アーティスト? 確かに都市とサイバースペースを舞台に落書きをしたり、ハッキングをしたりと、パフォーマンスらしきことを行なっているので、一種のアーティストと言えなくはない。アクティヴィスト? そうかもしれない。
テムズ川南岸にできたサイバーカフェ
そのヒース・バンティングが最近ネットワーク化の拠点にしているのが、テムズ川南岸、ロンドン・ブリッジの近くにあるサイバーカフェ「バックスペース」である。普段はサイバーカフェとして営業しているこの小さなスペースでは、最近月に一度のペースで「ANTI WITH E」と題されたコンフェレンスのシリーズが行なわれている。 サイバーカルチャーの公共圏 ハーバーマスの有名な公共圏の議論がある。その議論にしたがえば、人々が自由な立場で政治的な議論を行なった19世紀のカフェやパブのような「公共」空間は、「近代」の政治の重要な役割を果たしてきた。近代主義者であるハーバーマスは、「今こそこうした空間が必要だ」と説くわけだが、「バックスペース」のコンフェレンスなどを見ていると、ヨーロッパのある政治運動の中に自覚的に「公共」の空間を絶えず作りだし、維持していこうという伝統がはっきりと残っていることが伝わってくる。 彼らの議論で共通しているのは、サイバースペースを含めた「公共圏」が、国家や企業といった別の力により「私」化されていくことに反対するはっきりした態度表明である。公共空間とは国家や企業や、ましてや個々人に属している空間ではない。何か面白そうなことが起きると、すぐに国家や企業が介入し、個人は個人的な金儲けのみに奔走するという状況に何も疑念をはさまない日本のサイバー関係者は、「バックスペース」でも覗き、できれば下手な英語でもいいから発表をして、もう一度「公共」という言葉の意味を考え直すべきだと思うが、どうだろうか?
[もうり よしたか/
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