Nov. 5, 1996 (b) | Jan. 21, 1997 (a) |
Column Index - Nov. 5, 1996
a)【《三人の巨匠たち》展】……………………● 椹木野衣
b)【フィルム・ノワールの光と闇
c)【反「逃走論」のススメ─スローであることの強度】
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反「逃走論」のススメ ●熊倉敬聡
料理好きの知人とどぜうの丸鍋をつつきながら
ここでは、主にダンス、身体表現の最新の動向について論評することを依頼されている。だが、場がインターネットで、しかも英語とのバイリンガルであることから、例えば外国のダンス・カンパニーの日本公演の論評などをしてもあまり意味がなく、もっぱら「日本」という一つの特異な社会的・文化的環境でこれまた特異な形で生成してくる舞踊、身体表現だけを論じるようにこれまで心がけてきた。しかし、パフォーミング・アーツはいたって出来事性が強いアートであるため、1カ月間、これは、といった上演がなかったり、あるいはこちらの都合で観に行けなかったりというときもある。 メディアにつながれていることへの疲労 〈最近、妙に疲れるんだよね。うちにいても、やれ電話、やれファックス、やれE-mail、やれインターネットと、脳や身体が四六時中メディアにつながっている感じ。自分んちにいるのに、妙に慌ただしいんだよね。ずっと頭痛もするしね。ヴィリリオが「情報汚染」って言っているんだけど、まさにそういう感じ。脳も身体も細胞のすみずみまで情報漬けになっているんだよね。しかも 「東京」っていう都市に住んでいると、そのスピードがやたら速いわけ。「東京」って、世界で一番情報の流通が速い都市だと思う。で、みんな、僕だけじゃなく、目まぐるしい速さで押し寄せる情報にオーバーヒート気味ね。これ以上速くなったら、一体人間どうなっちゃうんだろうと不安になっちゃう。それこそ、前に浅田彰(注:日本のポストモダニズムを代表する評論家)がどっかで、バターになるトラの話を書いていたけど、気がついたらあんな感じで飽和しっちゃってドロドロになっているのかなあ。 スローであることの強度
そういえば浅田彰って、『逃走論』とかっていう本出してるけど、あれって結構こういう末期的な状況を準備したような気がする。っていうか、浅田彰本人っていうより、ジャーナリズムが“記号”化した「逃走論」。逃げて逃げて逃げまくって、それでも追ってくる情報よりさらに速く逃げるって言うイメージ。これが結局ますます情報を加速してしまうってわけ。 [くまくら たかあき/フランス文学、現代芸術]
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a)【《三人の巨匠たち》展】……………………● 椹木野衣
b)【フィルム・ノワールの光と闇
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