キュレーターズノート

京都市立芸術大学作品展／「FIX」展／京都オープンスタジオ：4つのアトリエ

中井康之（国立国際美術館）

2009年03月15日号

　以上、単評を綴ってきたのは、その「作品展」の一部である。しかも、個人的に特に興味のある絵画に限ってきた。今年の「作品展」は、彫刻に見るべき作品は多く、映像作品にも注目すべき作品があったが、その全体を紹介するだけの準備はできなかった。少なくとも、今回紹介した作家の多くは、ほかの場所でも少なくとも一回は、私自身が確認している作家であり、それは「学内展」という枠を越えた総合的な展覧会に近い内容を持つものであることを証明するものであろう。
　さらには、この「作品展」に合わせて、京都市中京区の元・立誠小学校で8人の作家によって繰り広げられたFIX展は、フロアーを違えて8人の作家が本作品とデッサン的なもので同じ空間を構成するような展覧会を実施していた。あるいは京都市芸大の近辺でも、やはり会期を合わせて、同大学の卒業生が共同で借りているスタジオを展示室代わりにしてオープンスタジオを開催するなど、「作品展」の期間5日間を終日アート・ツアーとすることも不可能ではないようなアート・イベントとなっていた。

桂スタジオでの展示風景。東明の作品