「色彩」という存在の捉え方は、アーティストによって驚くほど多岐にわたります。絵画制作を通して、空間の中における色彩と向き合うフランシス真悟による個展「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」(2024年6月9日まで茅ヶ崎市美術館で開催中)に関連し、色彩を大きなテーマのひとつに制作を続けてきたアーティストたちの視点や言葉を借りて、色と私たちの関係性をまっさらな目で見つめ直すきっかけになるであろう5冊をご紹介します。
[協力:茅ヶ崎市美術館]

 

今月のテーマ:
アーティストたちの眼を借りて「色」を見つめ返す5冊

1|マティス 画家のノート【新装版】

著者:アンリ・マティス
翻訳:二見史郎
発行:みすず書房
発行日:2023年5月18日
サイズ:A5判、442ページ

「色彩の魔術師」と呼ばれるアンリ・マティス。よく紹介される切り絵やペインティングだけでなく、礼拝堂といった空間までも制作の延長線上で手がけていたことを近年の彼の展覧会で新しく知った人も多いはず。制作中、色を扱う際の思考が克明に綴られた本書は、都市空間や家族、自身の闘病のことまで言及があり、エッセイとしても読み応え十分。

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2|内藤礼〈母型〉(神戸芸術工科大学レクチャーブックス)

著者:内藤礼
聞き手:中村鐵太郎
発行:左右社
発行日:2009年12月20日
サイズ:A5判、106ページ

近年内藤が取り組んできた、見えるか見えないかの境目にある幽かな色を白いキャンバスに乗せたペインティングのシリーズ「color beginning」。そこに至るまでの空間作品たちの根元にある思想を、詩人・中村鐵太郎との対話を通して読み解いていく過程はとてもスリリング。2009年刊行の本ですが、いま読むと内藤の作家としてのぶれなさが浮かび上がってくる本。

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3|配色の設計─色の知覚と相互作用 Interaction of Color

著者:ジョセフ・アルバース
監訳:永原康史
翻訳:和田美樹
発行:ビー・エヌ・エヌ新社
発行日:2016年6月24日
サイズ:A5判、206ページ

バウハウスやブラック・マウンテン・カレッジなどで教鞭を執り、熱心な授業を繰り広げたジョセフ・アルバース。彼が半ばライフワークのように取り組んできた、隣り合う色同士の関係性とそれらが視覚にもたらす現象を、理論的な側面からも追究したシリーズ「正方形讃歌」の実践のバリエーションには舌を巻く一方、本書もまた、色を通して世界を見る力を養う問題集のようでもあります。

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4|スーラの絵本─もっと近づいて(小学館あーとぶっく)

構成・文:結城昌子
画:スーラ
発行:小学館
発行日:1994年12月2日
サイズ:32ページ

「小さな色のつぶがあつまっていろんな形をつくっている」「スーラの絵はかがやく大きなししゅうのようだ」──。点描技法のパイオニアとして知られる新印象派の画家・スーラ。作品に意識的に近づいて目を凝らすことを促す本書は、スーラが見つけた点描(当時の社会では賛否両論だったそう)という発明への驚嘆を、読み手の年齢や背景を問わず改めて実感させてくれる一冊。

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5|フランシス真悟作品集: 虚空と現象のはざまへ

著者:フランシス真悟
発行:里文出版
発行日:2015年3月
サイズ:25cm、91ページ

フランシス真悟による、2004年から2014年までの作品集。掲載作品のなかには「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」展で実際に観られるものも。顔料内の粒子とそこに干渉する光によって多層的な表情をもつ絵画が、その空間の中でのみ立ち上がるものの正体に触れるひとつのヒントにこの本もなるはずです。

版元ドットコム

 

フランシス真悟「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」

会期:2024年3月30日~2024年6月9日(月)
会場:茅ヶ崎市美術館(神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45)
公式サイト:https://www.chigasaki-museum.jp/exhibition/7778/


[公式図録]フランシス真悟「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」



発行日:2024年5月
発行:茅ヶ崎市美術館
サイズ:230×188mm、120ページ

優れた色彩で人々を魅了し、世界的な活躍をみせる現代アーティスト・フランシス真悟。本書では、1980年代の初期からの多様な絵画作品約100点と、本展のために当館の自然光が差し込む展示空間を活かした新作約10点を掲載。


◎美術館受付にて販売(販売現金書留による郵送も可能)。詳細情報はこちらのページをご参照ください。

2024/05/14(火)