会期:2026/07/18~2026/09/23
会場:東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]
公式サイト:https://www.operacity.jp/ag/exh300/

良い意味で裏切られた、と表現するのがいいのだろうか。何の予備知識もなく本展を観たのだが、最初はぽかんとあっけに取られてしまった。いわば、展示品があるようでないのである。鑑賞前、タイトルにある「空」は天空のことなのかと思っていたが、それだけでなく「空っぽ」という意味も込められていたのかと思い知る。では、本展では何を見せていたのかというと、東京オペラシティ アートギャラリーの空間そのものなのだ。建築家の青木淳と美術家のリチャード・タトルの二人によって、空間の再構成が行なわれたのである。通常、上階で紹介されている収蔵品(寺田コレクション)の中から、青木が選定した作品を下階で展示し、独立した場所にあるミュージアムショップをアートギャラリー内の回廊に移して、代わりにそこを展示室にするといった具合である。さらにアートギャラリーでは二人による選書や、本展のために二人がデザインしたジュエリーやグッズなどを販売。そうした再構成により、上階、下階、ミュージアムショップを有機的につなげることを試みたのだ。


展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー[Photo: ToLoLo studio]


展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー[Photo: ToLoLo studio]

そして展示品らしきものといえば、太い柱に木片が積み重ねられた構造物、天井から吊り下げられたバスケット、また壁に掛かった色とりどりの薄紙の帯などである。上階も下階もがらんとしたホワイトキューブの中で、鑑賞者はこれらを見上げることになるのだが、天空の意味でもある「空」はここから来ていたのかとまた思う。

展示品があるようでないと述べたのは、つまりこれらがあまりにも空間の一部として馴染みすぎていたからだ。以前からずっとそこに佇んでいたかのような雰囲気を漂わせていたのである。たぶん、ほかに何も要素のないがらんとした空間であったことや、光と影のコントラストを取り入れた情緒的な演出が大きく影響していたのだろう。そして、ようやく気づく。本展で真に見せていた展示物は「空」だったのかと。普段、うつむいてスマホの画面ばかりを見ている我々に、これは空を見上げることを促す展覧会なのである。


展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー[Photo: ToLoLo studio]


展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー[Photo: ToLoLo studio]

鑑賞日:2026/07/20(月)