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掲載/歌田明弘|掲載/影山幸一
使いやすくなったRSSリーダー
歌田明弘
美術館のメールマガジン
 メールマガジンはすっかりお馴染みの存在になった。メールマガジンはもちろん海外でもあるが、日本でとくに流行った。「まぐまぐ!」や「メルマ!」など個人でも簡単に発行でき、登録者の情報が発行者に伝わらず、プライヴァシーが守られながら効率的に発行する仕組みが広く認知されたからだ。
 ミュージアムなどでもメールマガジンを発行しているところは多い。たとえば東京国立近代美術館は「MOMATメールマガジン」、東京都写真美術館は「eyes04 Mail News」を発行しているし、森美術館大原美術館サントリー美術館出光美術館ワタリウム美術館相田みつを美術館とあちこちの美術館がこぞって出している。いうまでもなく、この「アートスケープ」もまたメールマガジンを出している。横浜美術館のように準備中でまだこれから出そうとしているところもある。
 企画展のスケジュールひとつにしても、来館者に周知させてリピーターになってもらうのはたいへんだが、メールマガジンは安上がりに発行でき、その美術館に関心があって登録してくれた人のもとに確実に届くのだから重宝されて当然だ。

少しずつ普及し始めたRSSリーダー
 メールマガジンは、わざわざ手に入れにいかなくても送り届けられる。アクセスしに行かなければならないウェブ・サイトなどと比べて、その点が発行者にとっても読者にとっても都合がよかった。同じようにことさらに意識してアクセスしなくても新しい情報が送り届けられる新たなインターネット技術が少しずつ普及しはじめている。
 RSSリーダーと呼ばれるソフトを使った技術である。ウェブ・サイトで「.xml」とか「.rdf」などで終わるURLのページ(RSS:Rich Site Summaryファイル)が作成されていれば、それをこのソフトに登録しておくことで、設定した時間ごとにそのサイトの新しい情報を取りこんでくれる。新しい情報を更新後すぐに送受信できるので、ニュースサイトやウェブログから普及し始めた。
 少し前までは日本のRSSリーダーは「News Glue」ぐらいしかなかった。これは有料のソフトなので、14日間の体験版の期間を過ぎるといくつかの機能が制限される。ただ、ホームページにも書かれているように、トライアル期間を過ぎてもそれほど支障なくこれまでどおり使える。数多くのサイトがあらかじめ登録されていてすぐに使い始めることができるし、使い勝手もいい。
 どうしてもフリーソフトということになれば英語のものしかなかった。しかし、このところ無料の日本語RSSリーダーがいくつも出てきたので、今回は、そうしたソフトを紹介しよう。

無料の日本語RSSリーダー
goo
goo RSSリーダー(*クリックで拡大します)
 RSSリーダーの画面は、メール・ソフトなどと同じく三つに分かれていて、左側に登録サイト、右上にそれらのサイトの記事見出しが並び、下段にウェブ・ページが開くというのがスタンダードな形だ。「News Glue」もそうだし、ポータルサイトのgooが無料配布しているRSSリーダーもそうだ。このgooのRSSリーダーも、多様なジャンルのニュースサイトやウェブログがこれでもかというほど数多く登録されていて使い勝手がいい。
 そういう意味では言うことないのだが、ただひとつだけ難点と思ったのは、RSSリーダーで開いたウェブ・ページのリンクをクリックしたときに、リンク先のウェブ・ページもこのリーダー内に開くことだ。いつも使っているブラウザが開かない。「RSSリーダーもブラウザの一種なので、すべてこれで見てください」ということなのだろうけれど、メールソフトのように3つの部分に分かれているのでウェブ・ページ表示が小さくなるし(ほかの欄を閉じてウィンドウを広げることはできるがクリックする必要がある)、いつも使っているウェブ・ブラウザと違った操作をしなければならないので不便だ。ウェブ・ページを次々と見ていくとなると、自分のブラウザに組みこんだツールバーの機能なども使いたくなってくるので、そういうときには不満が募ってくる。
サンダーバード
サンダーバード(*クリックで拡大します)
 私がこのところ使っているのは、フリーソフトを作っているグループ「モジラ」が開発した「サンダーバード」というソフトだ。これはじつはメールソフトで、メールソフトにRSSリーダーの機能が組みこまれている。メールソフトとしてどのような機能があるかは別の原稿で書いたので、そちらを見ていただければと思うが、メールソフトと一体化しているので、メールを見るついでに読むことができる。
 たしかにRSSリーダーが独立のソフトであっても、スタートアップに登録しておけばパソコンを起動したときにソフトが立ち上がり、インターネットの常時接続環境なら設定した時間ごとに最新の情報を読みこんではくれる。しかし、忙しくなると、わざわざRSSリーダーを開いて見ることをしなくなる。メールソフトと一体化していれば、わずかの時間でも簡単に覗ける。
ファイアーフォックス
ファイアーフォックス(*クリックで拡大します)

 この「モジラ」が作ったブラウザ「ファイアーフォックス」もまたRSSリーダーとして使える。「ファイアーフォックス」は人気を呼んで、インターネット・エクスプローラーのシェアをじわじわと喰っているブラウザだが、RSSの仕組みのあるウェブ・ページを開くと、ブラウザの右下にオレンジ色のマークが表示される。そこをクリックして、ブックマーク(お気に入り)を登録するのと同じように簡単に登録できる。そして、サイドバーのブックマークをクリックすれば、新しい記事のタイトルがずらっと出てくる。それをクリックして記事を読んでいく。ブラウザやメールソフトはよく使うから、これらのソフトならわざわざRSSリーダーを立ち上げる必要はない。
 ポータルサイトのライブドアはさらに、登録した人を対象に、新たなソフトをインストールしなくても、ライブドアのサイト内の自分のページにアクセスすることで、ウェブ・メールと同じ感覚でウェブログなどを読んでいける機能を提供している。ログインして「Blogリーダー」のページにアクセスし、ウェブログやニュースサイトを登録して読むようになっている。登録は無料でインストールも不要、ブラウザで読むことができるから、ライブドアのメール・サービスなどを使っていてログインするのが面倒でない人にはいいだろう。
 そのほか、Yahoo!にもRSSリーダーのカテゴリができたので、そのリンクをたどると、タスクバーなどに電光掲示板のように登録サイトの新しい記事見出しが表示されるソフトなど、多様な形式のRSSリーダーを見つけることができる。

RSSファイルをまとめて見つけられるサイト
 たいていのウェブログはRSSリーダーが使えるようになっているが、おもなものは、日本語のサイトならば「rss-jp.net」や「bulknews」などで見つけることができる。昨年暮れにできた「RSS-search」はカテゴリ別に整理されていて、とてもわかりやすい。また、RSSファイルへのリンクを提供しているサイトについてもYahoo!がカテゴリ・ページを作成している。
 英語のサイトについては「newsisfree.com」や「syndic8.com」、ハーバード大学法学部のブログのサイトなどで情報を得られる。
 「モジラ」のソフトやライブドアのBlogリーダーのように、あらかじめサイトが登録されていない場合は、こうしたサイトを使ってまとめて登録するのが便利である。
 最近の調査で、RSSの仕組みを利用しているネット利用者はアメリカでも5パーセントという結果だった。普及はまだこれからのようだが、RSSリーダーを使い始めてみると、ウェブの見方が変わってくることに気づくだろう。

[ うただ あきひろ ]
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