掲載/歌田明弘|
掲載/影山幸一
ウェブログ検索がもたらすもの
歌田明弘
テクノラティの誕生
ブログ検索のテクノラティの
日本版
ができている。3月にアルファ版が立ち上がっていたが、5月末にはベータ版にアップグレートした。正式版になればさらに強力になるのだろうが、
英語版
のかなりの機能がすでに使える。
テクノラティは、ウェブログの普及にともなってアメリカなどで人気を呼んだ検索サイトだ。日本版を立ち上げるということで、日本でも期待が集まっていた。
グーグルやヤフーのページ検索でももちろんウェブログも含めた検索はできるが、検索エンジンのデータベースが更新されるまでにはタイムラグがあるし、検索結果は最新の情報から並ぶわけでもない。ウェブサイトにアクセスしても、古い情報で役に立たないこともある。検索結果ページで新しい情報のほうから検索結果を知りたいと思うことはたびたびある。
テクノラティは、「リアルタイム」で更新され、新しく更新されたウェブログから順に表示される。
また、サイトのURLを検索ウィンドウに入れてサーチすれば、そのサイトにリンクしているウェブログが見つかる。自分のサイトのURLで検索すれば、ほかのウェブログで引用されたり誉められたり罵倒されたりしているのがわかるというわけである。
じつは、グーグルなどでも「link:」と頭にふってURLを入れて検索すれば、そのURLにリンクされているページがわかる。しかし、こうやって検索したことがある人はそう多くはないだろうし、リアルタイムの情報が検索できることにはやはり大きなメリットがある。
さらに、検索結果に出てきたウェブログの「リンクを見る」をクリックすれば、そのウェブログにリンクしているウェブログも見ることができ、ウェブログの相関図がたどれる仕掛けだ。
英語版のテクノラティ
英語版では、メンバー登録をすれば、登録したキーワードやURLをもとに「Watchlist」が作られる。そこで提供されるURLをRSSリーダーに読み込めば、そのキーワードやURLを含むウェブ・ページの情報を配信してもらえる(RSSリーダーについては
以前の回
参照)。検索ページに行って情報を引き出すプル型の使い方だけでなく、自動的に情報が配信されてくるプッシュ型メディアとしても使える。この原稿を書いているときには日本版にはまだこの機能はないが、いずれできるのだろう。英語版のほうで実際に「Watchlist」を使っているが、ウェブログの固定ページにリンクされるとはかぎらないようで、すでにページが更新されていて該当の記事を見つけるのに苦労することもあるが、かなり役には立つ。
このほか英語版では、登録メンバーはプロフィール・ページを作れたりするが、こうした機能も日本版ではまだこれからのようだ。
すでに日本版でできているのは、リンク数の多いウェブログ一覧、過去12時間のあいだに張られたリンク数の多いニュース記事一覧、過去72時間のあいだに張られたリンク数の多い本の一覧である。話題になっているウェブログ、ニュース記事、本がたちどころにわかる。ニュース記事は各ウェブログからニュースサイトへ張られているリンクを数えて多い順に並んでおり、本は、アマゾンのサイトの該当の本のページへのリンクを数えている。
英語版では、もうひとつ政治に関するウェブログ・リストができていて、これがじつはけっこうおもしろい。12時間内の「権威のある政治的ブロガー」からのリンクでリストを作成しているそうで、そのウェブログの人気が上がりつつあるのか、あるいは下がりつつあるのかも表示される。この原稿を書いている時点では、少し前に、ウォーターゲート事件でワシントンポスト紙にスクープをもたらした政府高官「ディープスロート」が名乗り出たという事件があったから、そうしたニュース関連のウェブログが上位になっている。
さらに、このリスト・ページでは、ウェブログが「リベラル」と「保守」などと分けられてリスト化されている。リベラルだとか保守だとか分類された人は納得しているのかなとちょっと心配になるが、いろいろな考え方を比較したい人間にとっては便利だ。
アメリカのウェブログはジャーナリスティックなものも多く、政治をあつかっていることも珍しくないのに対し、日本のウェブログは、個人的なことを書きつけている文字通りの「日記」が多いと言われている。日本のネットで「政治」はアメリカほど人気のあるジャンルではないだろう。テクノラティ・ジャパンは、アメリカのテクノラティの機能をほぼ踏襲しているように思われるが、この政治関係ブログのリストはどうするのだろうか。
もっとも、テクノラティ側があらかじめ一覧リストを作らなくても、利用者が好みのキーワードを設定して一覧リストを作れる仕組みが英語版のテクノラティにはある。「音楽」だとか「映画」だとか、記事のジャンル分類を示す「タグ」をウェブログに書きこんでおけば、そのジャンルの一覧が作られリスト化される。これはいまのところ日本版にはない機能だが、英語版でも日本語のタグはすでにたくさんあがっており、日本人の利用者は多いようだ。「文化・芸術」とか「写真」などの日本語のタグが並んでいる。「日本版でもタグの機能を使えるようにしてほしい」という声は早くもあがっているから、いずれ付け加わるのではないか。
先行するウェブログ検索「未来検索」
こうしたウェブログ検索は、日本ではライブドアが「
未来検索
」と名づけてすでに始めている。テクノラティ同様、ウェブログのみを対象にすばやく更新情報を集め、更新順、もしくは未来検索独自の採点順に結果を表示している。検索結果の順番を選べるのはテクノラティにはない特徴だ。
未来検索は、検索された回数の多い言葉を「注目のキーワード」としてリスト化するなど、テクノラティの「タグ」と似た機能を提供している(「タグ」のほうがはるかにフレキシブルではあるが)。キーワードを登録しておくとメールで教えてくれるアラート機能もあり、テクノラティのRSS配信と似ている。しかし、RSSリーダーを使っている人はまだ少ないようだから、メールで教えてくれるほうがとくに日本では受けいれられやすいかもしれない。ライブドアはウェブログに力を入れているが、アメリカからやってきたテクノラティと、先行しているライブドアの未来検索、日本ではどちらがより受けいれられていくだろうか。
[
うただ あきひろ
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