開館15周年:魅せます!コレクション/コレクション企画I:美術館の草創期──1970年代のコレクション/甦る美術館 |
|
福島/伊藤匡(福島県立美術館) |
|
今春は、東日本各県の公立美術館が代表的な所蔵品をまとめて展示する「コレクションによる名品展」が重なった。そのうち、6月以降も見られる新潟、群馬、栃木三県のコレクション展をご紹介する。
近年、外部から作品を借りて実施する展覧会が減り、自館のコレクションをもとに展覧会を企画しようという動きが増加している。背景には、各美術館とも事業予算が抑制されていることがあげられるが、それが可能になったのは、公立美術館が開館から20〜30年前後経過し、コレクションにも多少の厚みができてきたからでもある。また空調設備の交換、耐震補強、アスベスト対策などのために長期休館し、再開館後に「リニューアル記念」として開かれることも多い。コレクション展はそれまでの収集活動の成果を問われる場でもあり、またひとつの展覧会としての構成や展示の技術も見られるわけだから、美術館の実力を問われるものといっていよい。
美術館側の事情は別として、こうしたコレクション展を見る楽しみは、館の代表的な作品を一度に見られることだ。通常は作品保存の都合や他の展覧会への出品などの理由で常設展示されていなかった作品が、顔をそろえるのである。
|
新潟県立近代美術館は、開館15周年記念として、代表的な作品を約140点展示している。第一部は名品選で、新潟を代表する日本画家横山操の大作《炎々桜島》から始まり、「新潟」「日本」「世界」という収集方針に則して分類し、絵画・版画・彫刻・工芸各分野の作品をまんべんなく取り上げている。第二部は一括して収蔵した個人コレクションを紹介するコーナーで、同館コレクションの土台をなした旧大光相互銀行コレクションの岸田劉生、梅原龍三郎、安井曾太郎ら洋画の巨匠たちの代表作やデザイナー亀倉雄策のコレクション、さらには最近収蔵された旧相澤美術館コレクションの難波田龍起、史男父子の作品などを紹介している。苦心の跡が窺えるのが寄託作品、つまり所有者が美術館に預けている作品を紹介する「美術館へのプレゼント」というコーナーである。通常寄託作品はコレクションには含めないことが多いのだが、寄託作品がゴッホの油彩《長い棒を持つ農婦》となれば、なんとかして展示したいと考えるのはよくわかる。最後に近年コレクションに加わった現代作家の作品を「未来へ引き継ぐ」と名づけて紹介し、収集活動の継続を暗示して全体をしめくくっている。
もともとはほぼ正方形の企画展示室を、可動壁で仕切って回廊式にし、順々に一点ずつ作品を見ていくように仕立てている。同館の横山秀樹副館長によると、いろいろな展示構成案のなかで選択が難しかったようだが、確かに学芸員にとってはよく知っているコレクションだけにさまざまなアイディアが浮かんで選択に迷うことだろう。結果としてはオーソドックスな構成で、展覧会などのネーミングにはおもはゆさを感じるが、日本画、洋画を中心に見応えのある作品が列び、コレクションの代表的な作品を一度に見られるという期待に違わぬ内容だ。 |
|