木版画の詩人 川上澄生展
詩人として、また、版画家として知られる川上澄生(明治28〜昭和47年)は、横浜に生まれ、青山学院高等科在学中のころから詩や木版画に親しみ、当時の詩人たちや版画家などから多くの影響を受けました。大正5年高等科を卒業後、カナダ、アメリカを遊歴、大正10年、宇都宮中学校の英語教師となり、昭和17年まで同校で教鞭をとります。この間、国画創作協会展等に出品し、自作木版画詩画集などを出版して、自画自刻の創作版画の制作に励みました。 澄生の作品には、早くから芽生えた詩人的感性と教育的環境や時代の趣向を反映して、西洋文化と日本的なモティーフが融合した独特な異国趣味が見られます。中でも南蛮紅毛のキリシタン文化や明治期の文明開化のモティーフなどがよく知られていますが、女性への想いを託した作品や独自な静物版画、風景版画なども生み出しています。 本展は、こうした詩的で異国趣味溢れる隣県の優れた芸術家の作品をわかりやすく紹介するものです。栃木県立美術館のご好意により、豊富な川上澄生コレクションの中から約120点をお借りし、作家の歿後35年に当たり開催いたします。
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