2019年08月01日号
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《せんだいメディアテーク》伊東豊雄

sendai mediatheque, Toyo Ito

2001年1月に仙台市の中心部に開館した複合文化施設。設計は建築家の伊東豊雄。1995年のコンペ以前から、行政、建築計画者、市民、建築家、ボランティアのプロジェクトチームが事業計画に参画し、「最先端のサービス(精神)を提供する」「端末(ターミナル)ではなく節点(ノード)である」「あらゆる障壁(バリア)から自由である」という3つ理念に基づくサービスやプログラムを提供する施設を目指している。ミニシアター、ギャラリー、スタジオ、オープンスペース、図書館、映像・美術ライブラリー、バリアフリー情報提供施設といった機能が複合化され、従来の館内完結型ではなく、利用者参加型・自己表現型の活動を支援する知的環境が整備されたネットワーク共有型のサービスを提案した。話題を呼んだ斬新な建築デザインだけではなく、日本初の「メディアテーク」の名称をもつ新しいビルディングタイプの提案や審査の公開性を重視するなど、コンペの歴史的においても意義をもつ。伊東は、3つの建築原理「プレート(床)」「チューブ(柱)」「スキン(外壁)」により、いかなる与条件にも対応可能なフレキシビリティを有した、新しい原型となる建築を目指した。波に揺れる海藻に着想を得た13本のチューブは各階の非均質な空間に流動性をもたらし、壁によって仕切られない空間は利用者自身の各アクティビティに連続性を与える。また正面の2枚のガラスのダブルスキンは、光の反射と透過の時間変化により表情を変える。《せんだいメディアテーク》は、こうしたデザインと構造家の佐々木陸朗が担当した構造の両面から評価され、グッドデザイン大賞や日本建築学会賞(作品)など、さまざまな賞を受賞した。この建築は伊東自身の作風に大きな影響を与え、これ以降大胆な構造技術を取り込むと同時に、内外の明確な境界が存在せず、アクティビティと空間が完結しない場所のような建築を目指している。

著者: 伊藤幹

参考文献

  • 『せんだいメディアテークコンセプトブック』, せんだいメディアテークプロジェクトチーム編, NTT出版, 2001
  • 『建築:非線型の出来事 smtからユーロへ』, 伊東豊雄建築設計事務所編著, 彰国社, 2003

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