2019年06月15日号
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《ビルバオ・グッゲンハイム美術館》フランク・O・ゲーリー

Guggenheim Museum Bilbao, Frank Owen Gehry

1997年、スペイン北部の都市ビルバオに開館した巨大美術館。これは世界各地に分館をもつソロモン・R・グッゲンハイム財団の美術館のひとつであり、近現代美術の展示を行なう。最先端の技術により実現した自由で複雑な形態を有する。設計を手がけたフランク・O・ゲーリーは、安価な素材の使用、場所の特性に配慮した不規則で断片的な空間構成、彫刻的な造形を得意とする建築家である。デコンストラクティヴィズム(脱構築主義)の代表的作品と称された《ゲーリー自邸》(1979)で注目を集め、その後、作風が幾度か変わっていくが、《ビルバオ・グッゲンハイム美術館》はその集大成といえる。斬新な形態は船や魚を連想させ、彫刻的なヴォリュームを光り輝くチタンの皮膜が包む。ゲーリーの設計は二次元の図面に還元しにくい複雑な形態が特徴であり、模型によるスタディを重視している。この美術館の設計でも複雑な模型を三次元でスキャンし、データに変換、高度な三次元CADが構造解析とモデリングを行ない、模型や建設部材の切削機の制御に用いられた。またゲーリーは川沿いにビルバオの産業と文化が出会う新たな結節点を見出し、現実的な都市のコンテクストを読み込んだデザインを行なっている。美術館は対岸に延びる橋と絡み合うことで、印象的なランドマークとなっている。ビルバオでは、このプロジェクトの成功のほかにも、サンティアゴ・カラトラヴァ設計の《ビルバオ空港旅客ターミナルビル》や《カンポ・ヴォランティン橋》、ノーマン・フォスター設計の地下鉄《メトロ・ビルバオ》、磯崎新設計のツインタワー・ビル《イソザキ・アテア》などが建設され、数々の巨匠の建築計画を通じて、斜陽の工業都市から成長する文化都市へと再生を果たした。

著者: 伊藤幹

参考文献

  • 『GA DOCUMENT 54 Frank O. Gehry/Guggenheim Bilbao Museoa』, エーディーエー・エディタ・トーキョー, 1998
  • 『フランク・O・ゲーリー アーキテクチュア+プロセス』, ミルドレッド フリードマン編(繁昌朗、山口祐一郎訳), 鹿島出版会, 2008

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