2019年06月15日号
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《ファンズワース邸》ミース・ファン・デル・ローエ

Farnsworth House, Ludwig Mies van der Rohe

ミース・ファン・デル・ローエが設計し、1951年イリノイ州に完成した住宅。フォックス川に面した、広大な土地に建つ、エディス・ファンズワースという医者のために建てられた小さな週末住宅は、《バルセロナ・パヴィリオン》とともに、ミースの代表作であり、かつインターナショナル・スタイルを象徴する建築である。四周をガラスで囲われた内部空間には、キッチン、浴室、トイレを収めたコア以外には何もない。クライアントは独身者であったが、ゲストのためのスペースのあいだにも壁は存在せず、完全なワンルームのみで成り立っている。屋根と地面から持ちあげられた床スラブは、8本あるI型鋼の柱で支えられるが、柱はそれらの外側に配置されるため、内部空間には柱は現われず、柱に挟まって浮いているように見える2枚の水平スラブが強調される。8本のI型鋼は組立後、研磨されてさらに白く塗装されるなど、《ファンズワース邸》は工業製品を使用しながらも一品生産品以上に建設コストがかかっており、予算超過による訴訟事件が起こされたことでも有名である。ミースはこのガラスで囲った、自由なワンルームという空間コンセプトを、その後《イリノイ工科大学クラウンホール》(1956)などの大きなプロジェクトでも用いており、ミースのアメリカ時代を象徴するスタイルとなった。また、《ファンズワース邸》によく似ていることで知られる、《フィリップ・ジョンソン自邸》(1949)は、《ファンズワース邸》より早く完成しているが、《ファンズワース邸》の初期スケッチを参照していることを、フィリップ・ジョンソン自身が明らかにしている。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『ミース・ファン・デル・ローエ ファンズワース邸1945-50』, A.D.A.EDITA Tokyo, 2000
  • Farnsworth House, Maritz Vandenberg, Phaidon Press, 2005
  • 『ミース・ファン・デル・ローエの建築言語』, 渡邊明次, 工学図書, 2003
  • 『ミース・ファン・デル・ローエ』, ワーナー・ブレイザー編(渡辺明次訳), A.D.A.EDITA Tokyo, 1976
  • 『ミースという神話 ユニヴァーサル・スペースの起源』, 八束はじめ, 彰国社, 2001

参考資料

  • 『Houses of the Century(CD-ROM)by Computer Graphics Vol. 1 サヴォア邸/ファンズワース邸』, プランネットデジタルデザイン, その他, 2001
  • Mies van der Rohe Society, http://www.miessociety.org/

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