2019年09月15日号
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《ミューズを導くアポロ》ジョージ・バランシン

Apollon Musagète(仏), George Balanchine

バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)に振付家として在籍していたジョージ・バランシンの初期の代表的な作品。音楽はイーゴリ・ストラヴィンスキー。1928年6月12日、バリで初演。バランシンに先んじて振付家アドルフ・ボルムの振付による同作が同年4月28日にワシントンD.C.のアメリカ議会図書館劇場にて上演されているが、今日に残るのはバランシン版である。古代ギリシャ・ローマ神話をベースにした物語で、アポロが誕生し、自分の創造的な力に目覚め、それを発揮し、芸術を司る三人の女神を導き、パルナッソス山へ登るまでが描かれた。ニーチェはアポロン的なものとディオニュソス的なものを対比させたが、モダン・ダンスの作家たちがディオニュソス的なものを意識していたのとは対照的に、本作のダンスはアポロン的であり、古典的なフォームの美しさ、明晰な厳密さが追求された。それは、ジャズ・エイジとも呼ばれた20年代のメインストリームとも異なるセンスを示しており、新古典主義とも称されるそのバランシンらしい振付は、当時の観客に非常に新鮮な印象を与えることとなった。音楽を担当したストラヴィンスキーのみならず、批評家のエドウィン・デンビやゴードン・クレイグが絶賛したことでも知られている。本作から始まったバランシン流のバレエは、ウィリアム・フォーサイスなど多くのコンテンポラリーなバレエの動向に大きな影響を与えた。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『バランシン伝』, バーナード・テイパー(長野由紀訳), 新書館, 1993

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