2019年06月15日号
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《住吉の長屋》安藤忠雄

Row House in Sumiyoshi, Tadao Ando

狭小住宅でありながら、建築の1/3を中庭とする大胆な構成をとり、当時建築界に多くの議論を巻き起こし、多大な影響を与えた建築家・安藤忠雄の初期の代表作。1976年に大阪市住吉区に竣工した。敷地は間口2間、奥行8間という狭さで、三軒長屋の真中を切り取って建て替えるという厳しい条件のもとで計画された。既存の長屋にコンクリートの箱を差し込むようにできている。この箱は奥行き方向に三分割され、中央に配置された中庭が、この住宅を手前と奥に二分割している。このため住宅の1/3は外部空間であり、部屋から部屋への移動時に一度外へ出なければならない。狭い敷地の1/3を割いてまで造った光庭は、都市で失われつつある光、風、雨といった自然の感覚を住居に引き込む装置である。それによりさまざまに様相の変化する生活空間から自然を感じ、豊かな生活を送れるよう配置されたと安藤は言う。こうした大胆な構成でありながら、寸法の設定やディテールには緻密な配慮がなされている。人が直接触れるところには自然材が使われ、床には玄晶石、家具やフローリングにはナラが使われている。この住宅は、ごく限られた敷地と簡素な構成の中に豊かな住空間を内包しようという試みとして建築界に大きな影響を与え、安藤の出世作となった。

著者: 植野靖隆(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『安藤忠雄のディテール 原図集 六甲の集合住宅・住吉の長屋』, 安藤忠雄, 彰国社
  • 『安藤忠雄 住宅』, 安藤忠雄, ADAエディタトーキョー
  • 『家 1969→96』, 安藤忠雄, 住まいの図書館出版局
  • 『住吉の長屋/安藤忠雄(ヘヴンリーハウス 20世紀名作住宅をめぐる旅3)』, 千葉学, 東京書籍, 2008

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