2019年12月01日号
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《国立屋内総合競技場》丹下健三

National Gymnasium for Tokyo Olympics, Kenzo Tange

丹下健三都市建築設計研究所および丹下健三研究室が設計を担当し、東京オリンピックのサブ会場として1964年9月に竣工した体育館である。競泳競技のための「第一体育館」(現在は体育館およびイヴェント・アリーナとして利用)、バスケットボール競技のための「第二体育館」、室内水泳場を備える「付属棟」により構成される。なかでも「第一体育館」は、ダイナミックで記念碑的な外観と、一体感がありかつ圧迫感のない内観を実現しており、数多い丹下作品のなかでも代表作のひとつに数えられる。構造設計は坪井善勝研究室が担当し、巴型に配置されたコンクリート製のアーチ状の観客席と、2本の支柱のあいだに架けられたメインの吊りとのあいだに、鉄骨によるサブの吊りを架けて屋根を支えるという複雑な構成となっている。《ノースカロライナ・アリーナ》(1953、マシュー・ノヴィッキ)や《イェール大学アイスホッケー場》(1958、エーロ・サーリネン)などの先行する吊り構造の実例を参考にしつつ、当時世界最大規模の大空間を実現し、造形的にも単調になりがちであった吊り構造の限界を突破したといえる。全体の配置計画についても、「第一体育館」と「第二体育館」のあいだに配したプロムナードとしての「付属棟」が視覚的な区切りともなり、シンボリックな場の形成に成功している。このように、軸線の左右に非対称の建築を配し場の象徴性を生み出す配置は、法隆寺の伽藍配置など日本の古建築に倣ったもので、デビュー作の「大東亜建設記念造営計画」(1941)以来、丹下の一貫した手法である。

著者: 岡村健太郎

参考文献

  • 『丹下健三』, 丹下健三、藤森照信, 新建築社, 2002
  • 『一本の鉛筆から』, 丹下健三, 日本経済新聞社, 1985
  • 『丹下健三 代々木国立屋内総合競技場 世界建築設計図集8』, 川添登ほか監修, 同朋社出版, 1984

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