2019年09月15日号
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《梅林の家》妹島和世

Umebayashi House, Kazuyo Sejima

妹島和世建築設計事務所が設計し2003年12月に竣工した戸建て住宅。施工は平成建設。東京近郊にある敷地は、その名の通り、もとは見事な梅林であった。クライアントの依頼に従って、この梅の木々を住宅の周囲に残し、ガーデニングのできる庭をテラスに設え、家族5人がワンルーム感覚(ここでは、すべての部屋がつながっているというイメージ)で住まうことができるように、個々の小さな部屋がいくつも連なったような平面構成、断面構成をとった。この〈小さな部屋の連続〉を実現させるため、壁には厚さ16mmの鉄板のみを使用し、各部屋の間に開けられた開口部には扉もガラスも入っていない。そして、各々の開口部からは、隣接する部屋の様子が絵画のように切り取られて立ち現われる。この住宅では、家族構成に応じ住み手に与えられてきた従来のnLDK型の空間構成が崩され、そのインテリアにおいては、個人の空間と共同の空間があいまいに連続している。また、《梅林の家》はしばしば、《森山邸》(西沢立衛建築設計事務所設計、2005年10月竣工)との関連で語られるが、両者へ言及するにあたって頻出するキーワードは〈風景〉である。そして、その言葉からは、建築そのものが一軒の戸建て住宅であろうと、多様なヴォリュームによって都市により自由に開かれる集合住宅であろうと、建築家はその内外に向けて「風景」をつくり、環境について考えることが可能であるという理念が伺える。

著者: 田口純子

参考文献

  • 『新建築』, 「梅林の家 妹島和世建築設計事務所」, 新建築社, 2004年3月
  • 『日経アーキテクチュア』, 「close up 住宅 ペラペラの窓でつながる白い家──梅林の家(東京都)」, 日経BP社, 2004年4月19日
  • 『新建築』, 「対談 都市インフラと現代の風景──『保田窪』から『梅林の家』『森山邸』へ」, 山本理顕+妹島和世, 新建築社, 2007年2月

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