2019年06月15日号
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《森山邸》西沢立衛

Moriyama House, Taira Nishizawa

西沢立衛建築設計事務所が設計し2005年10月に竣工した戸建て住宅。施工は平成建設。大小さまざまであるが全体的に抑えられた白いヴォリュームが分散して建ち並んでいるその外観は竣工当時多くのメデイアで紹介された。10棟からなるヴォリュームは、一棟で住宅の機能を満たすものもあれば、リビングのみ、バスルームのみの棟もあり、各々が小さな庭や外通路を囲むように並んでいる。また、各々が薄い鉄板の壁に大きな開口部をもち、内部にいると、バラバラのフロアレベルから見た多様な風景が目に飛び込んでくる。本人が論じるように、西沢にとって建物をつくることは同時に「建物のつくられ方」と「建物の使われ方」の原則をつくることでもあった。《森山邸》の「建物のつくられ方」の原則は、オーナーの専用住宅、友人宅、そしてワンルーム規模の賃貸住宅をひとつの敷地に含める(将来は全棟をオーナーの自宅にすることができる)という要求条件、そして、東京の下町の雰囲気を残す周辺環境の都市構造パターンから導かれている。一方で、「建物の使われ方」の原則は、建物の機能(その空間を使いたくなるかどうか)、そして、空間がさまざまに使われる様子が、風景として、あるいは環境として現われてくることを構想することから導かれている。当時西沢は「透明」であることの必要性について度々言及し、《森山邸》の大きな開口からこぼれ出る生活の色や気配が多様で動的な関係を生み出す様子や、東京の混乱した街並みに見られるような、多様な要素が同時に視界に入ってくる都市の風景に、追求すべきリアリティを感じていたと語った。こうした森山邸での試みは、《十和田市現代美術館》(西沢立衛建築設計事務所設計、2008年3月竣工)に引き継がれている。

著者: 田口純子

参考文献

  • 『新建築』, 「建物の創造的な原則について」, 西沢立衛, 新建築社, 2006年2月
  • 『新建築』, 「森山邸 西沢立衛建築設計事務所」, 新建築社 , 2006年2月
  • 『新建築』, 「新しい幾何学に向かって」, 西沢立衛+妹島和世+藤本壮介, 新建築社, 2007年3月
  • 『新建築』, 「空間表現のディティール 第2回 錯綜するパースペクティブ──『森山邸』」, 高橋堅+山代悟/山本想太郎+石黒由紀, 新建築社, 2007年3月
  • 「close up 住宅 10棟に分けて外部との多様な関係を構築──森山邸(東京都)」, 『日経アーキテクチュア』, 日経BP社, 2006年4月10日

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