2019年06月15日号
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「ひそやかなラディカリズム」展

MOT Annual 1999: Modest Radicalism

1995年に開館した東京都現代美術館が99年に開始した、直近の美術状況から抽出されたキーワードをもとに現代美術をグループ展形式で紹介する年次展「MOTアニュアル」の第1回。企画者は同館学芸員(当時)の南雄介。「Modestyこそはラディカルなのだ」なる主張のもと、90年代後半から現われはじめた、コンセプトのリリカルな個人化、作品サイズなどの縮小化傾向に着目し、これを積極視して9人の作家を集めた。「視覚的なボリュームの欠如や、生活に結びついた日常性などを特徴とする。小さい、細い、軽い、薄い、白っぽい、といった言葉で形容されるようなスタイルや素材、そして、つつましく、素朴で、ありふれた、身近な、語彙と主題」とカタログ本文にある傾向がとりわけ顕著であったのは立体(彫刻)とインスタレーションで、素材に対する素朴さや作為の少なさ、日用品の使用、所与の展示空間への言及性もしくは依存なども共通する特徴に挙げられよう。この「ひそやかさ」は松井みどりが2007年に提唱した概念「マイクロポップ」とも遠く共鳴し、第11回目となるMOTアニュアル2011 「世界の深さのはかり方」が本展ときわめて近い様相を見せたことにも現われている通り、一過性の事象に留まらず2000年代の美術を特徴付ける傾向を浮き上がらせた先駆的企画であった。ひいては、「ひそやかさ」があいまいなまま担保としていた「日常性」なる概念を、よくも悪くもその後の課題として引き継がせた機会であったともいえよう。

著者: 成相肇

参考文献

  • 『ひそやかなラディカリズム』, , 東京都現代美術館, , 1999
  • 『マイクロポップの時代──夏への扉』展カタログ, , 松井みどり, PARCO出版, 2007

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