2023年11月15日号
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「アート・イン・ザ・ストリーツ」展

“Art in the Streets”

2011年4月17日から8月8日まで、ロサンゼルス市のロサンゼルス現代美術館(通称MOCA)のゲフィン館で開催されたストリート・アートの展覧会。米国初の大型美術館におけるストリート・アートの展覧会であり、世界中から大きな注目を集めた。同館館長のジェフリー・ダイチ、元アレッジド・ギャラリーのアーロン・ローズ、『アメリカングラフィティの歴史(The History of American Graffiti)』の著者ロジャー・ガストマンの三者が企画およびキュレーションし、ラメルジー、バリー・マッギー、シェパード・フェアリー、スウーン、チャールズ・“チャズ”・ボヨーケス、バンクシーなど、さまざまな世代・地域の数十名におよぶストリート・アーティストが参加した。08年の「ストリート・アート」展(ロンドン、テート・モダン)、09年の「ストリートに生まれて―グラフィティ(Né dans la rue – Graffiti)」展(パリ、カルティエ現代美術財団)など、ヨーロッパではすでに大型美術館でのストリート・アートの展覧会が相次いでいたが、やや遅れて米国でも実現した。とはいえその内容は、1970年代のグラフィティ文化勃興期から、2011年のグローバル化した状況における最新の動向までを通時的に捉えた意欲的なものになっており、豊富な一次資料に基づいてストリート・アート大国におけるひとつの「歴史」を提示しようとした点で、大きな意味をもつ。他方で、ストリート・アートの歴史を示したという以上に踏みこんだ展開はなされておらず、例えばストリート・アートを美術館という制度的な枠組みのなかに持ちこむことの是非など、古くから議論されている問題に対しての解答は先送りされている。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • Art in the Streets, , Jeffrey Deitch, Aaron Rose and Roger Gastman, Skira Rizzoli
  • アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論, , 大山エンリコイサム, LIXIL出版, 2015

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