2019年06月15日号
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「サイボーグ宣言」ダナ・J・ハラウェイ

“A Cyborg Manifesto”, Donna J. Haraway

ダナ・ハラウェイ(1944-)が85年に雑誌『社会主義評論』に発表した論文。後に単行本『猿と女とサイボーグ』(1991)に収録される。ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』に代表されるサイバーパンクの黎明期に発表されたこの論文は、「すでに現代人はキメラ(=サイボーグ)になってしまった」といった大胆かつ刺激的な命題によって、その後の「サイボーグ・フェミニズム」と呼ばれる動向に決定的な指針を与えた。ハラウェイの「サイボーグ宣言」がフェミニズムと接続しえた第一の理由は、「機械と生物の混合体(=サイボーグ)としての人間」という非自然主義的な人間観が、男女の性差を前提とした生殖=再生産のモデルに対する批判として機能するからである。「サイボーグは、脱性差時代の世界の産物である」という強力な断定を各所に散りばめたハラウェイの議論は、狭義のフェミニズムやポストモダンの議論にはとどまらず広く人口に膾炙しており、アーティストのなかにもハラウェイからの影響を明言する者は少なくない。直接的な交流としては、画家のリン・ランドルフが彼女の著作に挿画を多数提供している。

著者: 星野太

参考文献

  • 『サイボーグ・フェミニズム』(増補版), 巽孝之編, 水声社, 2001
  • 『猿と女とサイボーグ 自然の再発明』, ダナ・ハラウェイ(高橋さきの訳), 青土社, 2000

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