2019年09月15日号
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「ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)」展

“The Family of Man”

1955年にニューヨーク近代美術館の開館25周年を記念して、写真部門のディレクターであったエドワード・スタイケンが企画した展覧会。結婚、誕生、遊び、家族、死、戦争という人類に普遍的に共有される営みをテーマとして、68カ国、273人の写真から構成されたこの展覧会は、第二次世界大戦を経た世界へ向けて「全世界を通じて人間は本質的に単一である」というメッセージを表明するものであった。建築家のポール・ルドルフらの協力を得て、ニューヨーク近代美術館に大小503枚の写真パネルと文章を立体的に組み合わせた壮大なインスタレーションが実現、62年まで38カ国を巡回し、900万人という記録的観客動員を達成した。人類をひとつの家族に見立て、人種や階級を超えた融和を謳うこの20世紀最大の写真展が、形式においても内容においても戦中のプロパガンダを踏襲しており、冷戦体制下で経済的繁栄を謳歌するアメリカ型民主主義とヒューマニズムをアピールする文化戦略であったという指摘もある。56年には日本橋高島屋へも巡回、昭和天皇(とアメリカ大使)が会場を訪れた際に被爆直後の長崎の写真(山端庸介撮影)が主催者によってカーテンで覆われたことから物議を呼んだ。出品作品はスタイケンの母国であるルクセンブルク公国へ寄贈され、ユネスコの「世界記録遺産」として永久展示されている。

著者: 小原真史

参考文献

  • The Family of Man, Edward Steichen, Carl Sandburg, Museum of Modern Art, 1955
  • 『写真を〈読む〉視点』, 小林美香, 青弓社, 2005
  • 『神話作用』, ロラン・バルト(篠沢秀夫訳), 現代思潮新社, 1967
  • 『現代アメリカ写真を読む デモクラシーの眺望』, 日高優, 青弓社, 2009

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