2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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「不在の部屋」展

Room in Alibi

1963年、新橋の内科画廊において中原祐介が企画した作家10名によるグループ展。高松次郎の《影》シリーズ、赤瀬川原平の梱包作品、清水晃の鳥の死骸を突っ込ませたベッドなど、テーブル、椅子、ベッドといった家具にまつわる作品が展示された。中原の序文には、「この会場にある、いくつかの家具らしいものは、それとはまったく逆に現実性を抹殺し、消去し、隠蔽するために選ばれた物体の集合である。強調されているのは存在ではなく、非存在性ということである」とある。「不在」と「現実性」とを対比させたテーマや日常的事物の作品化への着眼は、この直後に始まる反芸術論争、とりわけ宮川淳の「日常性への下降」を想起させるが、この企画はむしろ反芸術傾向からの離脱に先鞭をつけた点で注目される。すなわち、反芸術におけるカオティックな芸術解体運動の熱気とは対照的に冷徹な論理化への転換である。おそらくはハイレッド・センターの反芸術とは趣を異にする動き(「不在」は特に高松が活動の中心に据えたテーマであった)に対する中原の敏感な反応が具体化した企画であるが、その理知的、分析的視点は、メンバーの一部が重複している通り、5年後の「トリックス・アンド・ヴィジョン」展に引き継がれる。反芸術ともの派(あるいは大阪万博)との狭間にある60年代後半を振り返る上で重要な展覧会。

著者: 成相肇

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