2019年06月15日号
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「写真100年 日本人による写真表現の歴史」展

“One Hundred Years of Photography”

日本の写真史を体系化した、ほぼ初めての展覧会である。日本写真家協会の主催によって、幕末・明治から太平洋戦争の敗戦に至るまでのおおよそ100年間の写真の歴史が、展覧会という形式によって集成された。展覧会は、1968年に西武百貨店で開催された。展覧会の組織に関わった人物は、東松照明、多木浩二、内藤正敏、中平卓馬らであり、専門的な写真評論家や写真史家ではなく、当時の中堅から若手であった写真家自身によってこの歴史記述の作業が行なわれたことは注目しておいてよいだろう。地域としては、北は北海道から南は九州まで、内容は、映像記録を目的とした匿名的な写真から、表現として取り組まれた写真作品まで、幅広く取り扱われた。特筆すべきは、田本研造による北海道開拓期の写真や、山端庸介による長崎の原爆投下直後の写真などといった、非芸術的な写真に注意が向けられた点である。そこでは、芸術写真のような表現性と、写真というメディアの機械的特質に即した記録性との桎梏が描かれており、主体に基づく表現=表象に対する批判といった、68年当時の芸術をめぐる思潮が反映していると言ってよいだろう。今日においてもなお、日本写真史の歴史記述は、この展覧会に基づくものが多い。また、本展覧会の成果をもとにした、『日本写真史 1840-1945』という書籍が71年に刊行されている。

著者: 土屋誠一

参考文献

  • 『日本写真史 1840-1945』, 日本写真家協会編, 平凡社, 1971

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