2019年08月01日号
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「建築家なしの建築」バーナード・ルドフスキー

“Architecture Without Architects: A Short Introduction to Non-pedigreed Architecture”, Bernard Rudofsky

建築家・著述家のバーナード・ルドフスキーによる展覧会および書籍。ルドフスキーはオーストリアに生まれ、晩年をニューヨークで過ごすが、それまでヨーロッパ各地やブラジルなど世界中のさまざまな国を渡り歩いた。1940年代から60年代にかけては、ニューヨーク近代美術館でいくつかの展覧会を企画するが、そのなかでも最も議論を巻き起こしたもののひとつが、64年に開催された「建築家なしの建築」展である。この展覧会は、それまでルドフスキーが調査を続けてきたさまざまな国の風土的建築や集落に光を当てたものであり、「風土的」「無名の」「自然発生的」「土着的」「田園的」という5つのキーワードから構成されている。近代建築全盛の時代に、それとは何の関係もないように思える、これらの建築――岩や樹をくり抜いて使用している住居や教会、砂漠の移動建築など、「無名の工匠」によるアノニマスな建築――のなかに、近代建築の要素を発見した。この展覧会カタログは書籍としても出版され、「無名の工匠たちの哲学と知識が産業社会の人間に建築的霊感の豊かさで未知の源泉をあたえる」とルドフスキーが記したように、多くの建築家たちが、その場所に特有のヴァナキュラーな建築を目指す契機となった。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『建築家なしの建築』(SD選書), B・ルドフスキー(渡辺武信訳), 鹿島出版会, 1984
  • 『建築雑誌』1999年8月号, 「建築家なしの建築3点(建築の20世紀)」, 村松伸, 日本建築学会

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