2019年08月01日号
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「芸術と客体性」マイケル・フリード

“Art and Objecthood”, Michael Fried

1967年に『アートフォーラム』誌上で発表された、批評家マイケル・フリードの論考のタイトル。ドナルド・ジャッド、ロバート・モリス、トニー・スミスらのミニマリズムの作品が批判されており、ミニマリズムを論じる際に最も頻繁に参照される論考のひとつ。フリードはミニマリズムを「リテラリズム(直写主義)」と呼び、そこで展開される鑑賞者と客体(=作品)との関係のありようを、主にジャッドやモリスの言説を引用することで分析している。フリードによれば、ミニマリズムの作品では、客体そのものの自律的な現前ではなく、客体を焦点として観者が空間的に抱合される「状況全体」がつくりだされる。フリードはそのような主客の対応関係のもとに成立する作品の性質を「客体性(Objecthood)」と呼んだ。このような「状況」は、フリードにとって演劇空間になぞらえられるものであり、彼はその「演劇性」を芸術に敵対するものとして批判した。もっとも、現実的・日常的な時空間との連続性のなかで、主体と客体とが相互依存的に配置づけられる諸々の関係の構築=演劇性は、モリスらにとってあらかじめ明確に企図されていたものでもあったが、このような戦略を、フリードは観者を堕落させる反道徳的なものとして断罪したのである。そこにはフリードのモダニズム芸術に対する、ほとんど神学的な心情告白さえ看取することができるだろう。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『批評空間臨時増刊号 モダニズムのハード・コア』, 「芸術と客体性」, マイケル・フリード, 太田出版, 1995

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