2019年09月15日号
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「音のある美術」展

“Moments Sonores”

栃木県立美術館にて1989年に開催された音響彫刻、サウンド・オブジェ、サウンド・インスタレーションを集めた展覧会。日本における同種の試みのなかでも初期の包括的な展示だった。国内において、美術館での音楽の演奏は70年代から行なわれていたが、音楽ではなく美術を出自とする作家による音を使う作品の展示は、80年代半ばから行なわれるようになった。岡崎球子画廊、鎌倉画廊、ストライプハウス美術館、西部美術館の活動、「色と形と音」展(下関市立美術館、1987)、「音のオブジェたち」展(青山こどもの城、1987)などに続き、「音のある美術」展はこの流れの総括となっている。担当学芸員は杉村浩哉。WAY、牛島達治、金沢健一、小杉武久、鈴木昭男、藤原和通、藤本由紀夫、松村要二、吉村弘、J・ジョーンズ、F・ヘスら、各世代(1930-60年代生まれ)・国内外の作家が参加した。2000年代以降、音を使う作品の展覧会では音楽を出自とする作家の出品が増加した。それに対して、同展は彫刻または工芸出身作家の参加が目立つ。そうした作家の作品には、音楽系の作家がよく用いるスピーカーや電子音を使わず、立体物をたたくなどして振動させて音を出す傾向がある。観客が演奏できる作品も多い。同展カタログには庄野進と恩地元子が音を使った美術の歴史を論じた文章を寄稿している。後者の文章では60年代以降の国内外の主要な展覧会が概観できる。また、このカタログに「サウンド・アート」という用語が見られないことも興味深い。少なくとも国内では「サウンド・オブジェ/インスタレーション」という用語の方が早く普及していた。

著者: 金子智太郎

参考文献

  • 「音のある美術」展カタログ, 栃木県立美術館, 1989

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