2019年12月01日号
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「鳥の巣」

鳥巣(中), Bird's Nest(英)

2008年の北京オリンピックのメインスタジアムとして建設された《北京国立競技場》。「鳥の巣」とはその特徴的な形態から呼称されるようになった愛称である。全長は330メートル、幅が220メートルで常設の座席数は80,000席。03年に行なわれた国際コンペにより選出され、設計はヘルツォーク&ド・ムーロン、構造はオーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ社が担当した。アーティストのアイ・ウェイウェイも、アドバイザーとしてこのプロジェクトに関わっている。全体はボウル型の観客席を小枝がざっくりと絡み合うような造形の外殻が包む。門型のフレームをずらしながら並べて基本的な構造をつくり、次に単調さをかき消すために二次部材を挿入し、錯綜したラインを演出する。加えて、大地震に対する耐震性や客席の観覧の最適性なども含め、コンピュータのシミュレーション・プログラムを駆使している。すなわちアルゴリズミック・デザインの産物である。この施設は、故宮(紫禁城)、天安門広場といった政治の中心を貫く都市の南北軸上の北部に位置し、造形だけではなく、その立地からも国家を担う建築として扱われる。北京五輪の影響も受けた中国の経済の発展により、同時期に都市のアイコンとなる建築が多数出現した。PTWアーキテクツによる《北京国立水泳競技場》(2008)やOMAによる《CCTV》(2009)などもそうした例である。その奇抜な意匠や構造の合理性、経済性に対する疑念や批判を受けながらも、圧倒的な視覚的インパクトから都市の風景を獲得した「鳥の巣」は、アルゴリズムによる建築設計と実現の可能性を世界に対して証明した。

著者: 椚座基道

参考文献

  • 『a+u』2008年8月号, 特集=北京2008, エー・アンド・ユー
  • 『新建築』2008年12月号, 新建築社
  • 『建築はいかに社会を回路につなぐのか』, 五十嵐太郎, 彩流社, 2010

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