2019年08月01日号
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『これはパイプではない』M・フーコー

Ceci n’est pas une pipe, Michel Foucault

フランスの哲学者ミシェル・フーコー(1926-84)が1973年に刊行した著書。ルネ・マグリットのシリーズ作品《これはパイプではない》が主題的に論じられ、それをもとに15世紀以降の西洋絵画を支配してきた二つの原理の存在が指摘される。その第一の原理とは「言語記号と造形的要素を分離する原理」であり、第二の原理とは「類似と肯定(=断言)との等価性を定立する原理」である。フーコーによれば、マグリットはそうした西洋絵画の二つの原理を逆手に取ることで、「同質性という前提を確保することなしに」「言語記号と造形的要素を結びあわせている」。以上のように、ここでフーコーはマグリットの作品分析から西洋における「表象」システムの分析へと移行しているのだが、このような手つきはベラスケスの《ラス・メニーナス》を仔細に分析した主著『言葉と物』(1966)を想起させる。したがって同書は、マグリッドの作品や絵画一般についての詳細な分析の書であるとともに、フーコーの主要な仕事との関わりにおいても読みうる一冊となっている。

著者: 星野太

参考文献

  • 『これはパイプではない』, ミシェル・フーコー(豊崎光一、清水正訳), 哲学書房, 1986

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