2019年06月15日号
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『アイコニック・ビルディング』チャールズ・ジェンクス

The Iconic Building, Charles Jencks

チャールズ・ジェンクスは著書『The Iconic Building』(2005)において、1990年代以降に世界各地で相次ぐ、グローバル資本と結びついた、スター・アーキテク卜の設計による著しく人目を引くデザインの建築物を「アイコニック・ビルディング(アイコン的建築)」と名付けた。具体的には、本書の表紙にも使用されている、ノーマン・フォスターによるロンドンの《スイス・リ本社ビル》(2004)や、レム・コールハース率いるOMAによる北京の《中国中央電視台本社ビル》(2008)、ダニエル・リベスキンドによるニューヨークの「グラウンド・ゼロ計画案」、そのほか、ピーター・アイゼンマンやザハ・ハディド、レンゾ・ピアノ、サンティアゴ・カラトラヴァらによるプロジェクトが挙げられている。なかでも、フランク・ゲーリーによる《ビルバオ・グッゲンハイム美術館》(1997)は、スペインの一地方都市を、莫大の利益を生み出す世界的な観光都市へと変貌させ、その後世界中に数多く計画されるアイコニック・ビルディングのモデルとなった例として注目されている。不動産業界の利潤追求姿勢や建築家の度を超えたエゴにより加速されるアイコニック・ビルディングは、その特異なデザインにより、世界中のマスメディアに取り上げられ、論争を巻き起こすことで、即効的な知名度を得る。ジェンクスによれば、このようなアイコニック・ビルディングには、これまでの建築の評価方法は適用できず、本書でその本質を、「謎めいたシニフィアン」という言葉で表現している。

著者: 有山宙

参考文献

  • The Iconic Building, Charles Jencks, Rizzoli, 2005
  • 『10+1』No.49, 「『批判的工学主義』のミッションとは何ですか?3 歴史・メディア編」, 南後由和, INAX出版, 2007

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