2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

Artwords(アートワード)

twitterでつぶやく

『アバランチ』

Avalanche

1970年から76年にかけて刊行された不定期の刊行物。当時ニューヨークを拠点に活動していたインディペンデント・キュレーターのウィロビー・シャープと編集者のリザ・ベアによって計13号が刊行された。主に、ポスト・ミニマリズム、コンセプチュアル・アート、ランド・アート、ヴィデオ・アート、パフォーマンスなどの動向が取り上げられたことで知られる。『アバランチ』は、批評家によるテキストが掲載される通常の美術雑誌の体裁は採らず、アーティスト自身によるテキストやインタヴュー(すべてシャープとベアが担当)が掲載された。密度の濃いインタヴューは、60年代後半以降コンセプチュアルな様相を強めていたアーティストの思考の深度を窺い知ることができる貴重な一次資料として、他のさまざまな媒体にも転載されている。また、図版の掲載においてシャープとベアは、印刷物という物理的特性を全面的に活用すべく、ひとつの作品を複数の視点から撮影した図版や、映像作品のキャプチャー画像をページ全体に羅列的に展開するなど、独特のレイアウトを採用した。そこでは、複数の図版の併置的な構成が作品の一義性を解体し、印刷物によるドキュメントが、当の印刷物の物質的相貌と同期して現われる。雑誌のレイアウトやアーティスト・インタヴューを重視した『アバランチ』は、この点においても、概念的、物質的に不確定的な揺らぎを備えた当時の美術作品の運動性を真摯に記録しようとしたメディアであると言える。出版社のプライマリー・インフォメーションから2010年に復刻版が刊行された。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Avalanche 1970-1976(Facsimile Edition), , , Primary Information, 2010

年代

ジャンル

関連ワード

関連人物

▲ページの先頭へ

アートワード検索

アートワードを検索

文字の大きさ