2019年06月15日号
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『インサイド/アウトサイド』

Inside Outside

2000年以降、急激に複雑化したストリート・アート・シーンの内実に迫ったドキュメンタリー映画作品。05年公開。監督はデンマークのアンドレアス・ヨハンセンとニス・ボイ・モラー・ラスムッセン。出演しているストリート・アーティストはゼウス、スウーン、ケー・アール、オス・ジェメオス、ロン・イングリッシュ、アダムス・アンド・イッツォなど。07年に日本語版のDVDが発売されている。1970-80年代を通じてニューヨークを中心に形成されたサブカルチャーとしてのグラフィティ文化に対し、それを経由しながらもより多様な表現手段や文脈を取りこんだ、世界同時多発的なストリートの表現文化として2000年以降のストリート・アートを捉えるならば、『ワイルド・スタイル』や『スタイル・ウォーズ』といった1980年代冒頭のグラフィティ文化を扱った映画作品が前者に対応しており、 『インサイド/アウトサイド』は後者に対応していると言えるだろう。両者の差異のひとつとして、『ワイルド・スタイル』や『スタイル・ウォーズ』に出演しているグラフィティ・ライターたちはそれぞれに固有のスタイルを持っているものの、スプレー塗料やマーカーなどを用いて名前をかくというグラフィティの基本的なルールを踏みだすことはないが、 『インサイド/アウトサイド』に登場するストリート・アーティストたちは、それぞれまったくと言ってよいほど表現の手法や方向性が異なる。したがって映画が描きだすのも、ストリート・アートという文化の全体像ではなく、個々のストリート・アーティストの活動やその背後にある思考であり、そのこと自体がグラフィティ/ストリート・アートをめぐる状況の変化を示していると言えるだろう。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論, , 大山エンリコイサム, LIXIL出版, 2015

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