2019年08月01日号
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『ゲリラ・テレビジョン』マイケル・シャンバーグ

Guerrilla Television, Michael Shamberg

アメリカの映画製作者であるマイケル・シャンバーグとレインダンス・コーポレーションによって、1971年に出版された著作。内容は理論的教科書と実戦用マニュアルからなる。そこでは電子映像メディアの発達により、モノを所有する「プロダクト文化」からコトを体験する「プロセス文化」への移行が説かれ、電子映像メディアを脱政治化・脱テクノロジー化の道具とすることが志向される。その思想のなかでは、テクノロジーは偏向(バイアス)を本質として持つとされるが、同時にメディアを資本主義や官僚主義に抵抗し、民主主義的に組織可能なものとして捉えている。こうして具体的には、多チャンネルTV、ヴィデオ・テープによる個人表現、地域コミュニティ・メディア、オルタナティヴなネットワークの形成など、その後のメディアとヴィデオ・アートの展開を予見した方法論が示された。「メディア・カウンター・カルチャー」の代表的な著作として知られ、その影響は日本にまでおよび、山口勝弘や中谷芙二子らによるグループ「ビデオひろば」の活動などをもたらした。ヴィデオがマスメディアに対する抵抗として明確に意識されている一方で、メディアが民衆的になることによって民主主義が自動的に獲得されうるとする、技術の解放神話に楽観的に依拠している部分があることも否めない。結果的に技術の解放は、その後到来したインターネット時代から鑑みるに、制度追従的な大衆メディアの消費社会を補強したにすぎなかったように思われる。

著者: 河合政之

参考文献

  • 『ゲリラ・テレビジョン』, マイケル・シャンバーグ、レインダンス・コーポレーション(中谷芙二子訳), 美術出版社, 1974
  • 『情報社会を知るクリティカルワーズ』, 田畑暁生編, フィルムアート社, 2004

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