2019年08月01日号
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『スタイル・ウォーズ』

Style Wars

『ワイルド・スタイル』とともに、グラフィティ文化を主題にした最初期の古典として知られるドキュメンタリー映画作品。監督はトニー・シルヴァー。プロデュースはシルヴァーと『サブウェイ・アート』『スプレーカン・アート』の著者であるヘンリー・シャルファント。1983年にまずTV放映され、続いてバンクーバー国際映画祭やサンダンス映画祭をはじめとするいくつかの映画祭で上映された。シーン、ドンディ、フューチュラ2000、クラッシュ、レボルト、ゼファーなど、ニューヨークの初期グラフィティ文化を担ったグラフィティ・ライターが多数取りあげられている。物語仕立てではなく、ドキュメンタリーとしてグラフィティ・ライターたちの生の声が提示されている点において『ワイルド・スタイル』とは異なると言えよう。また、ニューヨーク市長(当時)であったエドワード・アーヴィング・コッチや警察官らのコメントも収録するなど、いわゆる体制側の視点にもカメラを向けており、新しいアートフォームとして注目されると同時に、深刻な社会問題として取り締まりの対象になりはじめていたグラフィティ文化をさまざまな側面から切り取っている。タイトルにある「戦争(wars)」という言葉は、単にストリートと体制側の闘争という以上に、グラフィティ文化が直面していたこの社会的ダブルバインド状態をこそ表わしているだろう。『スタイル・ウォーズ』において示された諸問題は、映画公開から30年近くが経った現在でも解消されているとは言いがたく、あらためて強く問い直される必要がある。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論, , 大山エンリコイサム, LIXIL出版, 2015

参考資料

  • 『スタイルウォーズ』(日本語版), , , 発売元:ナウオンメディア(株), DVD, 2005

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