2019年06月01日号
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『バレエ・メカニック』フェルナン・レジェ

Ballet mécanique(仏), Fernand Léger

画家として知られるフェルナン・レジェが映画作家のD・マーフィーとともに1923-24年に制作した短編映画。撮影マン・レイ。音楽G・アンタイル。この映画の特徴はシナリオがないこと、また、動く諸々のイメージを一種のキャラクターとして用いていること、さらにレジェが重視した技法として「唯一の映画的発明」と彼が呼ぶクロース・アップが挙げられる。具体的には、運動する機械や人間がクロース・アップで撮影されることによって、各パーツ(人間であれば「口」や「目」)に分解され、その独特の動きとともに一つひとつに独立したパーソナリティが与えられ、図形や靴や帽子などとともにそれぞれが同等の存在(イメージ)として並べられている。また映画の複製効果による人間の動作の反復も多く用いられており、そうした表現からは、レジェが表わそうとした機械文明の「新しいリアリズム」のありさまを感じることができる。内容のみならずタイトルからも察知される人間の機械化というモチーフに、未来派からの影響を読みとることは可能であるとしても、未来派もその一部である、人間を機械のイメージを通して見ようとする大きな潮流が当時あったと捉えるべきであろう。レジェの描出する「きちんと訓練された編成で旋回し、クロース・アップで示される50人の少女たちのふともも、それは美しく、客観主義的傾向がある」といった情景は、例えば、B・バークレーらによるミュージカル映画での群舞の表現に通じるところがある。なお、同時期につくられた実験的映画『幕間』と本作を並べながら、レジェは、二つの映画の共通の目標が、「平均的なものを避け、身動きがとれないほどの自重から自由になって、新たな映画の存在理由をつくりだすところにあった」と述べている。

著者: 木村覚

参考文献

  • Functions of Painting, Fernand Léger, Edward F. Fry ed., Alexandra Anderson trans., The Viking Press, 1973
  • 『イタリアのアヴァン・ギャルド 未来派からピランデルロへ』, 田之倉稔, 白水社, 2001(初版1981)

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