2019年06月15日号
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『ラオコオン 絵画と文学の限界について』ゴットホルト・エフライム・レッシング

Laokoon oder Über die Grenzen der Malerei und Poesie(独), Gotthold Ephraim Lessing

1766年に刊行された批評家・劇作家のゴットホルト・エフライム・レッシングの著作。ヘレニズムの最末期、紀元前40-50年頃に制作されたと推定される《ラオコオン群像》を美学的に論じたものであり、視覚芸術と文学のそれぞれのジャンルの「限界」を検討したジャンル比較論の古典的著作である。レッシングは同じ題材から出発したヴェルギリウスの叙事詩とラオコオン群像を比較し、文学と彫刻とが、互いにいかに異なった創案を行なったのかを仔細に検討している。その際、レッシングは文学作品の特質を継起的に展開されるものとし、逆に彫刻家の創意をそこから異なる複数の瞬間が同時的に導き出されるような「含蓄ある瞬間」の選択に見た。レッシングは彫刻も絵画と同様にひとつの視点に限定されているために、この「含蓄ある瞬間」が観者の想像力に自由な活動の余地を与えるとする。ゆえにレッシングにとって造形芸術の特質とは、その「絵画性」に求められるものだった。レッシングの議論は、彫刻や絵画のメディウムの差異の峻別と個々のメディウムへの還元にモダニズム芸術の理論的・歴史的根拠を見出すC・グリーンバーグや、文字と視覚芸術の区別から文人画を批判したE・フェノロサなど、近現代の美学的言説にさまざまな波及効果を及ぼしている。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『ラオコオン 絵画と文学との限界について』, , レッシング(斎藤栄治訳), 岩波文庫, 1970
  • 『グリーンバーグ批評選集』, 「さらに新たなるラオコオンに向かって」, クレメント・グリーンバーグ(藤枝晃雄編訳), 勁草書房,

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