2019年06月15日号
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『ワイルド・スタイル』

Wild Style

1983年に公開され、グラフィティ文化をはじめとするヒップホップ・ムーヴメントの金字塔となった映画作品。実際のグラフィティ・ライターが出演したこともあり、物語自体はフィクションであるがドキュメンタリーとしての側面が強く、ブロンクスを中心とした当時のグラフィティやヒップホップのシーンを鮮明に伝える。監督はチャーリー・エイハーン、主演はリー・キュノネス。ほかにサンドラ・ファーブラ、ファブ・ファイブ・フレディ、ドナルド・ホワイト、マイケル・マーティンなど、初期のグラフィティやオールドスクール・ヒップホップを担った著名人が多数出演している。『ワイルド・スタイル』は何よりもまず、70年代のニューヨークでアンダーグラウンドに進行していたグラフィティ文化を、並行して起こり始めていたラップやDJ、ブレイクダンスなどのブロック・パーティーから生まれた現象とひとまとめにして「ヒップホップ」というムーヴメントとし、映画を通じて社会へ紹介するという役割を担った。その後、新しいサブカルチャーをパッケージングしたこの映画は、ヨーロッパや日本でも公開され、世界各地にグラフィティやヒップホップが定着するための最初の大きな契機となったと言えよう。他方で、ラップやDJとは微妙にその発生が異なるはずのグラフィティ文化が、ヒップホップの四大要素として一括りにされ、記号化されたヒップホップというラベルのもとにその一面だけが強調されがちなことに対し、懐疑的な見解も少なくはない。例えば、『ワイルド・スタイル』公開前の70年代のグラフィティ・ライターたちのなかには、パンクやメタルなどの白人音楽に傾倒していたものも多く、またラップやDJなどのパーティー文化よりも、スケートボードなどの都市空間におけるパフォーマティヴなサブカルチャーとの親和性を指摘する説もある。いずれにせよ、その起源を正確に見極めることは難しいと言わざるをえない。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論, , 大山エンリコイサム, LIXIL出版, 2015

参考資料

  • 『WILD STYLE』, , , 発売元:ジャパンミュージックシステム, DVD, 2003

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