2019年08月01日号
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『実験音楽 ケージとその後』マイケル・ナイマン

Experimental Music: Cage and Beyond, Michael Nyman

ジョン・ケージ的な実験音楽に関する最初のモノグラフ。1970年から72年に書かれ、74年に刊行された。まず初めに前衛音楽と実験音楽という理念の美的分析を行ない(1章)、実験音楽前史について述べた後(2章)、ニューヨーク楽派とフルクサスを扱う章(3、4章)が続き、実験音楽の音楽作品を構成するさまざまなシステムの解説と60-70年代のいくつかの動きを扱う章(5、6章)があり、最後に、ミニマル・ミュージックに言及(7章)して終わる。クロノロジカル(編年的)な構成という観点で見ると、5、6章は雑駁な記述に見えるが、ケージ以降の実験音楽の豊富な作例に同時代的な観点から言及するテクストとして、実験音楽を扱ういくつかの著作が登場した今もなお、依然として重要な基礎文献であり続けている。本書はアヴァンギャルドな芸術運動を扱う「実験〜(映画、演劇、絵画など)」シリーズのひとつとしてStudio Vista社が企画したものだった。他の芸術の場合は、まず最初に「実験〜」とはどういうものかという定義を行なう必要があったが、音楽の場合はすでに50年代にケージが「実験音楽」を提唱していたため、この本の内容は、ヨーロッパ的な前衛音楽とケージ的な実験音楽を比較する美学的分析と、後者のモノグラフで占められることとなった。本書は70年代にはマイナーだったケージ的な実験音楽が一定の認知度を得るのに貢献することになった。

著者: 中川克志

参考文献

  • “Against Intellectual Complexity in Music”,no.13, Michael Nyman, MIT Press, 1980
  • 『実験音楽 ケージとその後』, マイケル・ナイマン(椎名亮輔訳), 水声社, 1992
  • Experimental Music: Cage and Beyond, Michael Nyman, Cambridge University Press, 1999

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