2019年06月15日号
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『廃墟の前衛 回想の戦後美術』桂川寛

Haikyo no Zenei, Kaisou no Sengo Bijutsu, Hiroshi Katsuragawa

画家の桂川寛による敗戦後20年間の回想録と当時彼が執筆した文章を収録した本。2004年、一葉社から刊行された。1929年に北海道で生まれた桂川は、48年に上京し多摩造形専門学校(現・多摩美術大学)に入学するが飽き足らず、49年に綜合芸術運動体を目指すグループ「世紀」に参加した。そこで安部公房、瀬木慎一、勅使河原宏らと知り合い、文学者と美術家の協働によってパンフレット『世紀群』(1950)や『詩集下丸子』(1951)などを発行してゆく。また、瀬木を除く桂川の仲間たちが日本共産党に入党し、52年には「世紀」が前衛美術会に合流して山村工作隊に参加する過程、そしてルポルタージュ絵画の誕生が描かれる。さらに前衛美術会、青年美術家連合、ニッポン展など、それまでの戦後美術史研究ではほとんど光が当てられなかった重要な運動が詳しく紹介された。桂川たちの「戦後美術」は、単にシュルレアリスムを乗り越えて新しい表現を生み出すという造形の問題ではなく、若い人々による、世直しのごとき革命の意識を原動力としていたことを伝えてくれる。

著者: 足立元

参考文献

  • 『日本の前衛1945-1999』, 瀬木慎一, 生活の友社, 2000
  • 『芸術アヴァンギャルドの背中』, 池田龍雄, 沖積社, 2001

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