2019年06月15日号
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『都市住宅』

Toshi Jutaku

1968年から86年にかけて鹿島出版会から出版された建築雑誌である。創刊号から75年12月号まで同誌の編集長を務めた植田実の代表的な仕事のひとつであり、杉浦康平と磯崎新が担当した印象的な表紙デザインでも知られる。そもそもは、雑誌『SD』の特集「都市住宅」(66年11月臨時増刊号)がきっかけとなり、同誌編集長であった平良敬一の発案により新たな住宅専門誌として、当時雑誌『建築』の編集部にいた植田が引き抜かれるかたちで編集長となり雑誌がスタートした。都市から家具デザインまで関連するあらゆる分野から住宅を捉え直そうとする視点から、さまざまな連載や特集が組まれた。特に1968年10月号と11月号で特集「アメリカの草の根」としてチャールズ・ムーアの《シーランチ》(1965)をはじめとしたアメリカにおける木造の素朴で伸びやかな作風の作品を取り上げた特集は好評を博し、後に同特集を読んだ日本の若手建築家が「草の根派」と呼ばれるスタイルの作品群を生み出すこととなった。また、東孝光《塔の家》(1966)や鯨井勇《プーライエ》(1973)など、都市と住宅が抱える問題に意欲的に取り組んだラディカルな作品を積極的に紹介し、同時代の若手建築家らに多大な影響を与え、現在でも「都市住宅派」を公言する現役の建築家も多い。これら『都市住宅』の仕事を含め、一連の「出版・編集を通して建築文化の普及・啓蒙に貢献してきた実績」が評価され、植田は2003年度日本建築学会賞文化賞を受賞している。

著者: 岡村健太郎

参考文献

  • 『植田実の編集現場 建築を伝えるということ』, 花田佳明, ラトルズ, 2005
  • 『都市住宅クロニクル1-2』, 植田実, みすず書房, 2007
  • 『INAX REPORT』No.170, 「著書の解題4 『都市住宅』1968年5月〜1976年3月 植田実」, 内藤廣, INAX, 2007

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