2019年06月15日号
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アジア美術

Modern/Contemporary Asian Art

アジア諸国・諸地域の近現代美術を指す総称。アジア美術を精力的に紹介してきた福岡市美術館による「アジア美術展」(1979-)をはじめ、その成果を引き継いだ福岡アジア美術館による「福岡アジア・トリエンナーレ」(1999-)、さらには国際交流基金のアジア文化センターの諸活動などにより、とりわけ1990年代以後、アジア美術への関心は高まっている。アジア美術の隆盛の背景には、美術におけるグローバリゼーションないしはマルチカルチュラリズムがある。89年にポンピドゥー・センターで催された「大地の魔術師たち」展では、非西洋社会の現代アートが大々的に紹介されたが、90年代以後、それまで欧米の現代アート一辺倒だった日本においても、アジアやアフリカなど第三世界の現代アートをめぐる展覧会が次々と開催されるようになった。アジアの諸都市において国際展が開催されるようになったのも、おおむね90年代だった。日本で開催されるアジア美術の展覧会には、異文化に対するエキゾチシズムや失われた伝統に対するノスタルジーが不可避的に生じる一方で、非西洋社会が西洋由来の「美術」を輸入する際に生じる「近代と伝統」という普遍的な問題を見出すこともできる。前者が日本とアジアを分節しているとすれば、後者は日本とアジアを節合していると言える。アジア美術の紹介が落ち着いた現在、アジア美術をめぐる今後の課題は、「近代と伝統」という問題を抱え込まざるを得ないアジア美術のなかで日本の近現代美術史を再検証することにある。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『美術手帖』1999年1月号, 「アジア美術館の誕生」, 後小路雅弘, 美術出版社
  • 『国際交流』第89号, 「アジアな街の美術館から」, 後小路雅弘, 国際交流基金, 2000

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