2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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アマチュア写真

Amateur Photos

専門的な写真の教育・訓練を受けていない撮影者による非商業的な写真。写真はデッサンの技術がなくとも誰にでも実践できるイメージの制作法であるために、1850年代にコロディオン湿板法が普及すると、イギリスの富裕層を中心としたアマチュア写真家たちがクラブを結成して活動し始めた。大学の数学講師であったルイス・キャロル(本名:チャールズ・L・ドジソン)は、「ガラスの部屋」と呼ぶスタジオで少女たちにさまざまな衣装を着せて撮影を行ない、写真史初の女性マスターとされるジュリア・マーガレット・キャメロンも身近な人々のポートレイトを数多く残している。また、フランスの富豪の家に生まれたジャック・アンリ=ラルティーグは1902年、8歳の時に父親から買い与えられたカメラ(ラルティーグは「魔法の箱」と呼んだ)で身の回りの出来事を撮影した。晩年には「偉大なるアマチュア写真家」として発見され、ニューヨーク近代美術館で展示が行なわれるなど高い評価を受けた。1888年にジョージ・イーストマンが「あなたはボタンを押すだけ、後はわれわれが全部やります」という触れ込みで、コダック・カメラを発売、コダックに送り返したカメラ内のフィルムが現像され、新たにフィルムが充填されるというシステムで市場を開拓した。操作が簡便でロール・フィルムを充填できる小型カメラの登場によってアマチュア層のスナップ写真も爆発的に増加した。初期の写真師はさまざまな薬剤や器材を駆使するオペレーターという側面が強かったが、カメラと感光材の発達とカメラ雑誌によって、撮影を手軽に楽しむアマチュア写真家の裾野は広がった。近年ではアマチュアの写真家が撮影した写真を利用して作品を制作するアーティストも増えている。

著者: 小原真史

参考文献

  • The Art of the American Snapshot, 1888-1978: From the Collection of Robert E. Jackson, Sarah Greenough, Princeton University Press, 2007
  • 『時の宙づり 生・写真・死』, ジェフリー・バッチェンほか(甲斐義明訳), IZU PHOTO/NOHARA, 2010
  • 『ヴィクトリア朝のアリスたち ルイス・キャロル写真集』(新版), 高橋康也, 新書館, 2003
  • 『愛のまなざし ラルティーグ写真集』, ジャック=アンリ・ラルティーグ写真(堀内花子訳), リブロポート, 1994

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