2019年08月01日号
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アルゴリズミック・コンポジション

Algorithmic Composition

厳密に手順の決められた(定式化されたformalized)方法にもとづいて音楽を作曲する手法のこと。この手法は大きく二つに分けられる。ひとつは確定的と呼ばれ、手順から一切の偶然性を排除する。これには例えばメロディに自動で和声をつける手法なども含まれる。もうひとつは不確定的と呼ばれ、手順に偶然性を取り入れる。この偶然性には、特定の音を他より多く鳴らすなど、確率の偏りが設定されることもある。近年のアルゴリズミック・コンポジションのほとんどはコンピュータを使用しており、この用語自体20世紀半ばのコンピュータ音楽の成立とともに普及していった。コンピュータを使うアルゴリズミック・コンポジションの先駆けはL・ヒラーとL・アイザックソンの《弦楽四重奏のためのイリアック組曲》(1957)とされる。この楽曲でコンピュータによって制作されたのは楽譜のみで、これを人間が演奏した。後に自動作曲プログラムは音声合成技術と組み合わされ、コンピュータのみによる作曲・演奏が可能になっていく。初期の代表的プログラムにはI・クセナキスの確率音楽プログラム(1961)、G・M・ケーニッヒのプロジェクト1(1964)、B・トゥルアックスのPODプログラム(1975-)などがある。現在は、例えばMax(1988-)のようなアルゴリズミック・コンポジションのプログラムを作成するためのプログラミング言語が普及しており、その原型としてはヒラーとR・ベイカーのMUSICOMP(1963)が挙げられる。現状はコンピュータと不可分に見えるアルゴリズミック・コンポジションだが、定義上は手作業やアナログ装置を使うものも含んでいる。最初期の例としてよく言及されるのは、楽譜の提唱者でもあるG・ダレッツォが11世紀初頭に考案した手法である。彼は文字の母音に音高を割り当て、歌詞に自動でメロディをつけた。バロック時代に完成されたカノン技法や、18世紀のサイコロを使った作曲ゲームなども、この手法の先行例として挙げられる。

著者: 金子智太郎

参考文献

  • Initiation à la Composition Musicale Automatique, Pierre Barbaud, Dunod, 1966
  • Formalized Music: Thought and Mathematics in Composition, Ianis Xenakis, Indiana University Press, 1971
  • 『コンピュータ音楽 歴史・テクノロジー・アート』, Curtis Roads(青柳龍也ほか訳・監修、後藤真孝ほか訳), 東京電機大学出版局, 2001
  • 『現代音楽キーワード辞典』, デヴィッド・コープ(石田一志ほか訳), 春秋社, 2011
  • Algorithmic Composition: Paradigms of Automated Music Generation, Gerhard Nierhaus, Springer, 2009

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