2019年06月15日号
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アンダーグラウンド映画

Underground Film

60年代から70年代にかけて使用された、アメリカの実験映画を指す別称である。当時のアメリカ実験映画は産業化した商業映画に対するカウンターとして反商業主義と反検閲の立場を取っており、(現在に至るまで)自主配給ルートによって上映活動を行なっているが、この用語が使用される場合には、ドラッグやセクシュアル・マイノリティに関わるような、モラルを挑発するセンセーショナルなタブーに踏み込むことを厭わないアンダーグラウンドの映画であることが強調されているといえる。日本国内においては、用語自体は60年代後半に受容されたが、それは「アングラ」との略称によって世俗的なニュアンスを加えられ、映画にとどまらないサブカルチャー全般を指す用語としてジャーナリズムにおいて広まった。それはフーテンと呼ばれた当時の若者の価値観や、「ゼロ次元」などのグループによって街頭で行なわれた一連の反芸術的パフォーマンス/ハプニングやアングラ演劇とも結びつけられた。アンダーグラウンド映画を上映する場所としてはアンダーグラウンド蠍座などが存在し、フィルムの配給はジャパン・フィルムメーカーズ・コーポラティヴなどが担っていた。また、佐藤重臣が編集長を務めていた期間の『映画評論』は、誌面でアンダーグランド映画を大きく取り上げることで、この動向を後押しした。そのような動向のなかで過激化した作家やグループは、万博破壊共闘派に参加したり、60年代後半の安保闘争に合流してゆく。このような動向は、オルタナティヴな対抗文化としての意義をもっていたが、その一方で結果的にアンダーグラウンド映画そのものが風俗的なブームとして消費されてしまうという側面も存在した。「アングラ」ブームの終焉以降は、この用語は使用されなくなり、実験映画もしくは個人映画という用語が使用されるようになった。

著者: 阪本裕文

参考文献

  • 『アンダーグラウンド映画』, シェルドン・レナン(波多野哲朗訳), 三一書房, 1969
  • 『地下のアメリカ』, 金坂健二, 学芸書林, 1967
  • 『映画・日常の実験』, かわなかのぶひろ, フィルムアート社, 1975
  • 『祭りよ、甦れ! 映画フリークス重臣の60s-80s』, 佐藤重臣, ワイズ出版, 1997
  • 『アンダーグラウンド・フィルム・アーカイブス』, 平沢剛編, 河出書房新社, 2001

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